切れ味が落ちた包丁は、力が入って危なく、料理の仕上がりも落ちてしまいます。じつは砥石(といし)さえあれば、包丁は自分で研いで切れ味を取り戻せます。コツをつかめば、道具を長く使う楽しみも広がります。
この記事では、砥石の選び方・研ぐ角度・研ぎの手順・研いだあとの手入れまで、初めての方にもわかるように解説します。
この記事でわかること
- 砥石の種類と選び方
- 基本の研ぎ方の手順
- 研ぐ角度と「かえり」の確認
- 片刃(和包丁)と両刃の研ぎ分け
- 研いだあとの手入れとシャープナーとの違い
砥石の種類と選び方
砥石は、粒の粗さ(番手)で役割が分かれます。数字が大きいほど目が細かくなります。
| 種類 | 目安の番手 | 用途 |
|---|---|---|
| 荒砥(あらと) | 〜#400前後 | 刃こぼれを直す・大きく削る |
| 中砥(なかと) | #800〜#1500前後 | ふだんの研ぎの基本 |
| 仕上げ砥(しあげと) | #3000以上 | 切れ味と刃先を整える |
まず1本選ぶなら、日常の研ぎに使える中砥(#1000前後)がおすすめです。より切れ味を求めるなら、中砥+仕上げ砥の2本がそろうと安心です。
多くの砥石は、使う前に水に浸して十分に水を含ませてから使います(気泡が出なくなるまで、5〜10分が目安)。商品の表示に従ってください。
研ぐ前の準備
- 砥石を水に浸して吸水させる
- ぬれ布巾や砥石台の上に砥石を置き、ずれないように固定する
- シンクや洗面台など、水を使える場所で行う
基本の研ぎ方(両刃の場合)
家庭用の三徳包丁や牛刀の多くは、両面に刃がついた両刃(りょうば)です。
STEP1:角度を決める
刃を砥石に当て、峰(背)を10円玉2〜3枚ぶん(約15度)浮かせます。この角度を保つのがいちばんのコツです。
STEP2:数回に分けて研ぐ
刃先を数か所に分け、それぞれ一定のリズムで前後に動かします。押すときに軽く力を入れ、引くときは力を抜きます。
STEP3:かえり(バリ)を確認する
片面を研ぐと、反対側の刃先に「かえり」という細かなめくれが出ます。指で刃先を(刃に対して直角方向に)そっと触れて、ざらつきを感じたら研げた合図です。
STEP4:裏面を研ぐ
包丁を返し、同じ角度で反対の面を研いで、かえりを取ります。両面を軽く交互に研いで仕上げます。
STEP5:仕上げとすすぎ
仕上げ砥があれば同様に整え、最後に包丁と砥石を水でよく洗い流します。
片刃(和包丁)の研ぎ分け
出刃包丁や柳刃包丁など、片面だけに刃をつけた片刃(かたば)の和包丁は、研ぎ方が少し異なります。
- 表(刃のついた面)をしっかり研ぐ
- 裏は、かえりを取る程度に軽く当てる(裏はほぼ平らに保つ)
片刃は切り口が美しく、刺身などに向きます。研ぎ分けに迷う場合は、購入店や産地の情報を確認しましょう。
和包丁の種類(出刃・柳刃・薄刃など)や片刃・両刃の違いは「和包丁とは?洋包丁との違い・種類・産地と選び方」でくわしく解説しています。
研いだあとの手入れ・保管
- 使ったらすぐ洗って水気を拭き取り、乾かす(特に鋼〈はがね〉の包丁は錆びやすい)
- ぬれたまま放置しない・シンクに置きっぱなしにしない
- 鋼の包丁は、長く使わないときは薄く油を塗ると錆びにくい
- 刃を守るため、食洗機は避け、刃当たりのよい場所に保管する
砥石とシャープナーの違い
| 砥石 | 簡易シャープナー | |
|---|---|---|
| 仕上がり | 切れ味が長持ちしやすい | 手軽だが切れ味の持ちは短め |
| 手間 | やや手間がかかる | 数回こするだけで手軽 |
| 向いている包丁 | 和包丁・鋼など本格的なもの | ステンレスの家庭用など |
忙しい日はシャープナーで手軽に、じっくり切れ味を戻したいときは砥石で、と使い分けるのもおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q. 研ぐ角度はどれくらいですか?
A. 両刃なら、峰を10円玉2〜3枚ぶん(約15度)浮かせるのが目安です。この角度を一定に保つことが、上手に研ぐいちばんのコツです。
Q. 「かえり」とは何ですか?
A. 片面を研いだときに反対側の刃先に出る、細かなめくれ(バリ)のことです。かえりが出たら研げた合図で、裏面を研いで取り除きます。
Q. どのくらいの頻度で研げばいいですか?
A. 使用頻度によりますが、切れ味が落ちてきたと感じたら研ぎどきです。家庭なら月に1〜2回ほどを目安に、こまめに研ぐと切れ味を保てます。
Q. ステンレスの包丁も砥石で研げますか?
A. 研げます。中砥から始めるとよいでしょう。手軽さ重視ならシャープナー、切れ味重視なら砥石が向いています。
Q. 研いだあとに錆びさせないコツは?
A. 使ったらすぐ洗って水気を拭き取り、乾かすことです。特に鋼の包丁は錆びやすいので、長く使わないときは薄く油を塗ると安心です。
まとめ:包丁は「一定の角度で研ぎ、乾かして保管」
包丁研ぎの基本は、砥石を水に浸し、約15度の角度を保って研ぎ、かえりを確認して裏面も整えること。研いだあとはよく乾かし、鋼の包丁は油で錆を防ぎます。まずは中砥1本から始めれば十分です。
切れ味のよい包丁は、料理を安全に、そして楽しくしてくれます。道具を自分の手で育てる楽しみを、ぜひ味わってみてください。
