オリジナルの木の笛「森のオカリナ樹・音(じゅ・ね)」の制作販売、コンサート企画などに取り組む合同会社「hocco(ホッコ)」(原村)は、2020年の東京五輪・パラリンピックなどを見据え、海外の人たちに広く樹音を知ってもらおうと、日本の伝統工芸の漆を樹音に塗布し、新たなデザインを完成させた。10月にはオーストラリアの音楽療法士の知人などを訪ね、漆塗りの樹音を紹介するイベントを現地で開く計画だ。
海外に向けて樹音を発信することになったきっかけは、17年に日本で開かれた音楽療法世界大会。樹音を出展したところ、オーストラリアやチェコの音楽療法士が音色や手触りを気に入ってくれたという。オーストラリアの音楽療法士は自閉症などさまざまな障がいを抱える人に樹音を用いた療法を施し、いい効果も表れているとし、樹音の新たな可能性が広がった。
ホッコ代表の安川みどりさん(62)は「音楽療法は日本では歴史が浅いが、海外の音楽療法士の実践例を見て、こんなふうに樹音が使えるのだと知りうれしかった。海外に樹音を持っていくことで、さらに楽器として鍛えられて日本に戻ってきてほしい」と、樹音の価値を高める機会にしたい考えだ。
漆の塗布は木曽地方の専門業者に依頼。限定品として販売する予定。安川さんは「美しさと耐久性にこだわった。木の良さを残しつつ、イメージ以上のものができた」と、仕上がりに満足している。
樹音は、安川さんの夫、故・誠さんが2010年に完成させた。八角形の手のひらサイズで、木製で県産の広葉樹などが主な材料。ソプラノとバリトンの2種類がある。樹音の地元愛好家グループが福祉施設やイベントでの演奏会、小学校でのワークショップなどを行っている。
オーストラリアへの渡航資金は、クラウドファンディングで募っていく予定。問い合わせはホッコ(電話0266・75・3533)へ。