梅雨入りを前に、山形市の伝統工芸の一つ「山形和傘」の制作が最盛期に入った。和紙の落ち着いた風合いが魅力で、鮮やかな色がパッと開けば、雨空すら待ち遠しくなりそうだ。
手掛けるのは県内唯一の和傘職人古内清司さん(66)=同市東原町1丁目。山形和傘は1789(寛政元)年に初めて作られ山形藩主水野家が生産を奨励したとされる。昭和初期には100軒以上で制作していたが、洋傘に押されて需要が減った。古内さんは古内和傘店の3代目で32歳から修業を積んだ。昨年10月から後継者1人を育てている。
主な種類は「番傘」「蛇の目傘」「浮世絵傘」で、山形花笠まつり用の「踊り傘」もある。竹の骨組みに和紙を貼り、油を塗って天日で干してから最後に漆を塗る。一般的な和傘の骨は46本だが山形和傘は雪の重さを考えて52本と多い。晴れた日の工房には緑、赤、紫の傘が並ぶ。古内さんは「次の世代に和傘を伝えるため頑張り続ける」と話す。