岩手を代表する伝統工芸品「南部鉄器」を使った風鈴が、東京オリンピックの公式ライセンス商品の一つに選ばれました。鋳物のまち、奥州市水沢で作られています。
19日に行われた東京オリンピック・パラリンピックの公式ライセンス商品発表会。展示された商品の中に風鈴があります。
この風鈴は、鋳物づくりがさかんな奥州市水沢で作られています。
東京オリンピック公式ライセンス商品の風鈴を製造している丸喜鋳造所です。50年ほど前から南部鉄器の風鈴=「南部風鈴」を専門に製造しています。真っ赤に溶けた鋳鉄を高炉から取り出して鋳型に入れ、灰をかけて冷まします。昔から続く製造方法です。公式ライセンス商品の風鈴は2月に製造が始まりました。こちらでは風鈴を月におよそ1万個作りますが、今はそのうちの3000から4000個ほどが公式ライセンス商品です。
高炉から流れ出る鋳鉄の温度は1400度前後。熱さに耐えながらの作業ですが、作り手のプライドがそれを支えます。
(佐藤慶喜社長)
「いい音のものを作ろうという気持ちは変わらない。やはり風鈴は鉄製が一番音がいい。音色が後まで残る」
公式ライセンス商品の風鈴は世界5大陸の連帯を表したオリンピックのマークをイメージし、赤、青、黄、緑、黒の5色がセットになっています。また、同じく公式ライセンス商品として、大会エンブレムに使われている紺色で色付けした南部鉄器の急須もあります。
東京オリンピック・パラリンピックの公式ライセンス商品には、日本の伝統を世界に発信しようと全国に古くから伝わる工芸品もラインアップに加わっています。南部鉄器の風鈴と急須もその一つです。
(水沢鋳物工業協同組合・戸田努課長)
「東京2020組織委員会が、オリンピックの公式グッズとして伝統工芸品をより多く商品化する取り組みをしており、我々も賛同した。これまでにないデザイン、色でお客様に喜ばれるのでは」
公式ライセンス商品になった南部風鈴は好評です。
(買い物客)
「音がきれいでいいですよね。色もかわいくて、今どきって感じ。まさか岩手でオリンピックの公式グッズを出すとは思わなくて」
涼やかな音色を届ける南部風鈴。岩手が誇る伝統工芸品がオリンピックとともに世界に発信されます。