箱根寄木細工

目次

特徴・産地

箱根寄木細工とは?

箱根寄木細工(はこねよせぎざいく)は、神奈川県箱根町で作られる木工品です。箱根山の豊富な樹種など日本随一の自然環境をもつエリアだからこそ、彩りのある樹木を生かした寄木細工が発展しました。

箱根寄木細工の特徴は、木々の緻密な色の違いを組み合わせによって様々な模様を作り出すことです。そのため、紗綾型(さやがた)、麻の葉、矢羽根(やばね)、青海波(せいがいは)などの伝統的な文様も表現することができます。また、木々を色で分けていて、その数は50種を超えます。

もともとは、東海道の土産物として作られた箱根寄木細工ですが、元をたどれば、高級品だったとも言われています。1984年(昭和59年)には、通商産業大臣から伝統的工芸品の指定を受け、土産物という枠には収まらないほど、緻密な美術品として人々を魅了しています。

歴史

時代を遡れば平安時代の初めの頃にも、高級家具や調度品として寄木細工はあったと言われていますが、箱根寄木細工の始まりは、江戸時代と言われています。 創始者は石川仁兵衛という、箱根町の畑宿で生活していた人物です。当時は、複雑な樹木の色を組み合わせた作りではなく、一種類の樹木やシンプルな模様が描かれた製品が作られていました。当時は東海道の茶屋や温泉で売られる、庶民に親しまれる土産物として作られていました。 江戸時代末期には、挽物(ひきもの)や指物(さしもの)などが多く作られました。 それからは、現代のような多様な木々を寄せ合う複雑で繊細な文様でデザインされるようになり、明治時代以降は、おもちゃなども製作されるようになり、庶民に親しまれる木工品として全国的にも広がっていきました。

制作工程

1.乾燥

まずは、箱根寄木細工作りに、使用する材料を日陰で乾かします。

2.選材

寄木細工の重要な工程は、製作する紋様に従って、材料を選定することです。まず紋様の種類はいろいろとありますが、基本的なパターンがあります。青海波(せいがいは)・奴(やっこ)・市松・矢羽根(やばね)・麻の葉・三桝(みます)・紗綾形(さやがた)・二崩(にくずし)などが主立ったパターンです。しかし、現代においては、伝統を受け継いだ紋様だけでなく、新しいデザインも徐々に作られています。また、木材の種類は色によって分けられています。白色は、あおはだ、もちのきなど、黒色は、くり神代、コクタンなど、茶色は、パドゥク、レンガス、緑色はほおのきと、ほかにも灰色、黄色、赤色などの色によって木材が決められます。

3.部材木取り

紋様を決め、それに合う材料を決めたら、適した厚さに手鉋(てがんな)で削っていく部材木取りという作業を行います。次に、紋様の配色順に膠(にかわ)を塗り、重ねて締め台で圧着していきます。これが基礎材です。

4.かんなかけ

次の工程は、基礎材から部材を作る作業です。45度の角度に削った基礎材を、手のこで切断するために型にはめます。部材を切断したら、より丁寧に仕上げるために、手鉋で削り取ります。

5.寄木(よせき)

切断した部材を同じ形のものごとにまとめて膠(にかわ)で結合していきます。木綿紐で縛ったら単位紋様材の完成です。単位紋様材が緻密に作られることによって完成型の細部まで美しくなります。

6.厚さそろえ

厚さそろえの工程では、単位紋様材を膠で接着する作業を繰り返しながら、大きな紋様としていきます。さらに、紐で縛ったら、手のこを使い、決まった厚さに切り取って、たくさんのブロックを作る作業です。たくさんのブロックをつなぎ合わせていき、組織紋様となり、寄木種板が完成します。

7.経木削り加工(きょうぎけずりかこう)

寄木種板をひとつずつ削っていく経木削り加工を行います。こうして大鉋で削り取りできたものを「ヅク」といいます。

8.経木加工(きょうぎかこう)

アイロンで平たく広げたり、和紙を用いて裏打ちしたり、曲がったヅクを美しく伸ばしていく作業です。

9.経木貼付加工(きょうぎてんぷかこう)

最後の工程では、ヅクを小箱などに接着して、完成です。寄木ムク製品では、ヅクを用いずに寄木種板を利用することもあります。このように、寄木細工を作るには、種類の違う材料を張り合わせながら、最初は小さく、徐々に大きく紋様を拡大していく作業の繰り返しが重要で、緻密さが要求される仕事です。

代表的な製造元

箱根寄木細工いづみや

お客様に心から寄木細工を楽しんでいただける様、こだわりぬいた逸品と、細やかなサービスを提供しております。

定休日 木曜日
代表 中里 栄作
営業時間 10:30~16:00
電話 0460-83-6030
見学 不可

関連施設情報

畑宿寄木会館

電話 0460-85-8170
定休日 木曜日、12/28~1/3
営業時間 9:00~16:30
アクセス 箱根登山鉄道「湯本駅」よりバス「畑宿」下車徒歩2分
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