築133年の古民家、茅葺き21年ぶり修復 いの町「代々続く家 大事に」

21年ぶりに葺き替えられた山中さん宅(写真はいずれもいの町清水上分)

 吾川郡いの町清水上分に残る築133年の古民家でこのほど、茅葺(かやぶ)き屋根の葺き替えが行われた。21年ぶりとなる作業を無事終え、職人や住民は安堵(あんど)。「これからも貴重な伝統家屋を守っていきたい」と、装いを新たにした家に目を細めた。

茅葺き作業を行う職人ら(山中清光さん提供)

 1886(明治19)年建築、木造平屋約100平方メートルの山中清光さん(70)宅。かつてはいろりを炊く生活の場だったが、現在は寝室としてのみ使用しているという。

 全面葺き替えは1998年以来。2017年秋の台風で茅の3割ほどが吹き飛んだためで、トタン屋根で応急措置している状況だった。

 修復は高岡郡梼原町の茅葺き職人、川上義範さん(71)に依頼した。栃木県や四国カルストなどから、直径約30センチの茅の束を1500束取り寄せ、山中さんや川上さんの弟子ら計7人が4月9日から作業を始めた。

 古い茅を全て取り除き、下敷きとなる竹を置いた後、茅を下から上へと重ねながら葺いていく。最上部は竹で押さえ固定。厚さ40センチ前後の屋根となり、最後は雨が均等に流れるよう表面を丁寧に刈りそろえた。

 作業中は、50年以上茅葺きに携わる川上さんが「初めて見た」と驚くこともあった。古民家の柱の継ぎ目は通常縄で固定されているが、山中さん宅では薄い竹を巻いており、川上さんが親交のある大学の研究者に伝えた。

 27日、作業を終えた川上さんは「貴重な家での作業は重圧がある」とほっとした表情。山々に囲まれた茅葺きの家は、日本の原風景といった趣で、山中さんは「代々続く家をますます大事にせないかんと思った」と話していた。(山崎友裕)

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