越前和紙の里として知られる福井県越前市の今立五箇(ごか)地区にある「卯立(うだつ)の工芸館」で5日、和紙の「すき初め式」が開かれた。和紙職人たちが紙をすき、紙業の発展や技術向上への決意を新たにした。
県和紙工業協同組合の関係者ら約100人が参加。産地の発展や作業の安全を祈る神事の後、地元に伝わる「紙すき唄」にあわせて、伝統工芸士たちが丁寧に紙をすいた。
紙の原料を木の棒でたたいて繊維をほぐす「叩解(こうかい)」、でんぷん質などの不純物を取り除く「紙出し」など、手作業での伝統的な和紙作りの工程も披露した。
紙すきを担当した職人の1人、山本三千代さん(47)は「和紙の良さを多くの人に知ってほしい。少しでもいい紙をすけるように努力したい」と話した。