かんなで木材を削る技術を競う第35回「全国削ろう会信州伊那大会」が11日、伊那市西町のエレコム・ロジテックアリーナ(市民体育館)を主会場に2日間の日程で始まった。全国各地から430人の職人が出場し、1000分の1ミリを競い合う薄削り競技などを実施。県内外から多くの見物客が訪れ、透き通るような薄いかんなくずを出す「匠の技」に驚きの声を上げている。会場では木に関わる多彩なイベントが開かれている。
大工や木工職人らでつくる全国組織「削ろう会」の県支部「信州鉋楽会」などで構成する実行委員会主催。県内では初の開催となった。
地元・伊那西高校の書道クラブが書道パフォーマンスを披露して開幕。中村博実行委員長(やまとわ社長)は「木工技術の伝承や森林資源の活用につながれば」と大会の成果に期待を込め、白鳥孝市長も歓迎のあいさつをした。
刃を研いだり、台を調整したりする技術を含めた「技の結晶」。職人たちは集中力を高め、木面を極限まで薄く削っていった。初日は五寸かんなの部の決勝があり、北安曇郡白馬村出身の大工、塩嶋稜一さん(26)=愛知県西尾市=が優勝。「大工になって5年目。練習でいい感触がつかめず不安でしたが、結果が出せて良かった。これからもひたすら練習です」と話した。
大工に興味があるという伊那市竜東保育園年中の白井英伍君(5)は、両親と一緒に競技を見物したり、かんな削りを体験したり。「(かんなは)難しかったけれど楽しかった。(職人さんのかんなくずは)すごくきれい」と目を輝かせていた。
12日は午前9時半から薄削り競技の予選、午後1時半から決勝を行う。子どもが楽しめるイベントも多く、来場を呼び掛けている。