福井県丹南地域の伝統工芸や地場産業の工房を開放し、職人の技や商品に触れてもらう産業観光イベント「RENEW(リニュー)」が10月9日、福井県鯖江市などで開幕した。来場者は工房見学やワークショップを通し、作り手の思いや背景を実感していた。11日まで。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインによる取り組みも充実させた。
リニューは消費者と職人の交流を図ろうと、市民有志らでつくる実行委員会が2015年、鯖江市河和田地区で始めた。近年は越前市、越前町にもエリアを広げ、数万人単位の来場があるイベントに成長した。
今年は新型コロナの打撃を受けながらも前を向くという決意から「Re:RENEW(リ・リニュー)2020」と銘打った。眼鏡、繊維、漆器、和紙、打刃物、箪笥(たんす)、焼き物の7産地の76社が工房見学やワークショップを行い、初日からにぎわった。
河和田地区では、来場者が漆器産地ならではの技術を体感した。Hacoaでは、女性客らが木のスツール作りのワークショップを楽しんだ。工房を開放した土直漆器では塗りの技術を間近で見ることができ、来場者が撮影する光景が見られた。漆琳堂では漆のアクセサリーなどが販売され、若者らが品定めしていた。
鯖江市うるしの里会館では、実行委の森一貴事務局長が「RENEWのつくり方」と題して講演し、オンラインでも配信した。森事務局長は「リニューとは、持続可能な地域をつくるための活動体。出展者一人一人が『いける』と実感し『このまちを何とかしたい』という内発的な動機をデザインする場」と話した。
配信関係ではほかに、開催期間限定のオンラインストアを開設。法人向けに産地の技術や強みをアピールするサイト「産地の赤本」も公開した。