鳥越に伝統工芸のデザインショップ 新形態の「雪駄」や結露しにくい切子など開発

雪駄(せった)を現代風にアレンジした「unda-雲駄-」

蔵前橋通りの鳥越神社近くに6月5日、プロダクトデザインブランド「goyemon(ごゑもん)」の直営店「goyemon KURAMAE」が移転オープンした。運営はNEWBASIC。

都営大江戸線蔵前駅付近で営業してきた同店。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年12月から休業を余儀なくされていた。「蔵前は歴史ある産業や職人が残る街。若い世代や国外の人にも日本の伝統に触れてもらいたい」との思いから移転し、営業を再開した。

「和とモダンの融合を表現した」という新店舗では、雪駄(せった)とスニーカーを掛け合わせた履物「unda-雲駄-(うんだ)」(1万8150円~)の展示・販売のほか、切子と断熱ガラスを使った二重構造のグラス「Fuwan-浮碗-(ふわん)」(2個=1万3200円)を販売する。

発案から発売までに約1年かけたという「unda-雲駄-」はオリジナルに加え、約10ブランドとのコラボレーションを実現。新店舗では、セレクトショップ「EDIFICE(エディフィス)」やアウトドアブランド「Snow Peak(スノーピーク)」などの別注モデルも数量限定で販売する。日本製にこだわり、生産は京都、奈良、福井のメーカーが担う。コンセプターの武内賢太さんは「竹皮を使っていないが素材を変えても雪駄の世界観を壊さないように色味や製造にこだわった」と振り返る。「江戸時代の雪駄同様に、鼻緒の位置を中央にして左右対称の形にしている。歩く中でソールがすり減ったら、昔の所作のように雪駄を左右で交換して、長く履いてほしい」とも。

「Fuwan-浮碗-」は結露しにくく電子レンジにも対応。「現代の生活に溶け込む機能に、縁起が良いといわれる七宝模様をデザインに落とし込んだ」という。金赤、瑠璃、山吹、灰青、白華の伝統色を使った5色を展開する。2個セットの販売で、色の組み合わせは同店での購入に限り好みで選べる。

武内さんと社長の大西藍さんは高校の同級生で、玩具や照明メーカーで企画・デザインに携わった経歴を持つ。学生時代から「遊び心がありつつも先人の知恵で理にかなったさまを見せる日本の伝統工芸に興味があった」という。一方で、最新技術にも関心があり、「それらを融合させたら面白いものが生まれる」と2018年に同ブランドを立ち上げた。

ブランド名は、歌舞伎などで有名な盗賊の石川五右衛門の名と、同名のキャラクターが登場するアニメのセリフから着想を得て名付けた。「デザインで人の心を盗みたい。モノがあふれる現代でストーリーも大切にしていきたい」と武内さん。クラウドファンディングで資金調達をした経験から、「誰でももっと自由に挑戦できる世の中になるように、受け皿にもなっていきたい」と今後を見据える。

営業時間は12時~17時。土曜・日曜のみ営業。支払いはキャッシュレスのみ。

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