静岡)黄綬褒章の新貝さん ふとん作り一筋36年

新貝さんのつくるふとんや座布団には富士山のロゴマークのタグがつけられる=2019年5月15日午後4時29分、静岡市清水区興津清見寺町、広瀬萌恵撮影

「完成した布団を渡す時には、娘を嫁に出すような気持ちになります」

静岡市清水区興津清見寺町の布団職人新貝(しんがい)晃一郎さん(54)には、模範となる経営者や職人をたたえる黄綬褒章が贈られる。88年続く「新貝ふとん店」の3代目。高校卒業から36年間、布団をつくり続けてきた。

新貝さんの布団は、四隅まで綿が詰まっているのが特徴だ。インドの綿は繊維が太くて短く、南米の綿は細くて長い。これらを混ぜて、「柔らかいのに適度な反発がある」布団にするのが技術の見せどころだ。

敷布団は薄い綿のシートを何枚も重ね、布で包む。シートを布地より数センチ大きくする「角(かど)づくり」の技法で隙間をなくし、人さし指で綿を角まで行き渡らせるとムラがなくなり、寝心地がよくなるという。「寝ている姿は見られないけど、心地よさそうな顔を想像して作っています」

布団のことばかり考え、家族旅行や娘の発表会にも行けなかった。「さみしい思いをさせたかもしれない。支えてくれた多くの人に感謝を伝えたい」

今後も、後輩職人の育成に努めたい。「ご褒美ではなく、これからも頑張れという意味の章だと思う」と意気込んだ。

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