別府竹細工を守る 卸業者や職人組合らが材料供給会社承継

湯釜から竹を取り出す永井製竹の茶重之さん=別府市光町

経営者の高齢化や後継者不足で廃業の危機にあった竹材、竹製品の製造会社「永井製竹」(別府市光町)の事業を、存続を望む竹製品卸売業者や竹細工職人の協同組合などが共同で引き継ぐことになった。永井製竹は国指定の伝統的工芸品「別府竹細工」に欠かせない材料を供給する大分県を代表する事業者。企業の事業承継を仲介する県事業引継ぎ支援センターなどのサポートもあって実現した。関係者の間には「伝統産業が守られる」と安堵(あんど)が広がっている。

永井製竹は創業100年を超える老舗。伐採業者から仕入れた竹を加工しやすいように工場の湯釜で煮沸し、余分な油を取り除く。天日で1週間以上乾燥させ、職人のニーズに応じ長さをそろえて供給する。他にも自社で皿やコップなど数百種類の製品も製造、販売している。年間取扱量は約500トン。従業員は約20人。

およそ50年前の最盛期に別府市内で10軒近くあった製竹所は、中国産の安価な製品の流入やライフスタイルの変化に伴う需要低迷などで激減。同社は永井貴美代社長(89)ら経営陣、従業員ともに高齢化し、後継者に適した人材もおらず、将来の事業見通しが立たない状況にあった。

2017年ごろから先行きの検討を本格的に開始。同センターのサポートもあり、市内の卸売業者「竹苑」(向功彦社長)、職人でつくる「別府竹製品協同組合」(岩尾一郎理事長)が支援に乗り出すことになった。

両者と、別府竹細工の愛好者で東京都から昨年3月に移住した茶(ちゃ)重之(しげゆき)さん(57)が5月30日、永井製竹の発行済み全株式をほぼ3分割で取得。茶さんが今月1日付で新社長に就任した。

永井前社長は「体が元気なうちは会社を助けたい」、茶新社長は「従業員と協力し、別府の文化を残していくための礎を築きたい」と決意を述べた。

事業承継は県経済の基盤を維持する上で大きな課題になっている。同センターの山中俊弘統括責任者は「取引先が共同で受け皿となるケースは珍しい。伝統産業を続けていく上で永井製竹がいかに大きな存在かを裏付けている」と話した。

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