<いわて春夏秋冬>古里の音色お出迎え/南部風鈴(奥州市)

涼やかな音色で夏の訪れを告げる南部風鈴

入線する列車が、かすかな風を巻き起こす。短冊が舞い、高く澄んだ音色がこだました。

「そうか、夏だもんね」。列車を降りた人たちが見上げる先にあるのは、奥州市水沢の伝統工芸「南部鉄器」の風鈴。毎年この時季、JR水沢駅のホームに登場する。

釣り鐘や動物、果物と形もさまざまな風鈴が乗降客を出迎えるようになったのは1962年。安価なアルミ鍋の登場で売り上げの減った鋳物業界の生き残り策だった。今ではすっかり「鋳物のまち」の風物詩だ。

水沢駅に降り立った仙台市太白区の主婦小田島清子さん(80)は、これから同級会に出席するのだという。「ずっと好きな音。これからも続いてほしい」。耳を澄まし、古里の夏に浸っていた。

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