時を経ても変わらぬ美しさ 父の匠の技 息子がシャツに 身近でカッコよく

沖縄の伝統工芸・琉球紅型の県指定無形文化財技能保持者、金城昌太郎さん(79)が描いた作品を、息子の昌之さん(38)が白黒のシャツで表現し、インターネットなどで販売している。かつては伝統工芸に全く興味がなかったという昌之さんだが、父の紅型に向き合う情熱を再認識して一念発起。「父の心を若い世代にも身近に感じてほしい」と昨年夏に起業した。

紅型職人の金城昌太郎さん(左)がデザインした柄をシャツにして販売する昌之さん=那覇市首里山川の工房

コンセプトは「伝統工芸をもっと身近にカッコよく」。紅型は華やかな色使いが特徴だが、あえて白黒で表現。そうすることでデザイン性を大事にする父の心が伝えやすいと考えた。

一見、紅型とは思えない意外性からシャツを見た人と会話が生まれ、伝統工芸に関心を持ってもらえればと「語れるシャツ」と名付けた。かりゆしウエアやアロハシャツとも違うコンセプトで差別化を図る。

紅型のシャツを考えたのは県外の知人から「沖縄は独自性の宝庫なのに、ブランド化が進んでいない」と指摘されたことがきっかけ。「沖縄の宝」は何かと考えた時、真っ先に父の顔が浮かんだ。しかし、紅型の知識はほぼゼロ。そんな時、ネットで偶然見たシャツからアイデアがひらめき、紅型の型紙でデザインすることを思い付いた。

IT企業に勤めていた経験を生かし、インターネットのクラウドファンディングなどで運営資金を集めた。試行錯誤を繰り返し、今年7月から販売を開始。ネットのほか、ワークショップなどでも魅力を広め、売り上げも手応えを感じつつあるという。

昌之さんは「紅型には時代を経ても変わらない美しさがある。父の世界観を多くの人に知ってほしい」と話した。工房を継がせるつもりはなかったという昌太郎さんは「こういう形で残してもらい、うれしい」と目を細めた。

シャツは白と黒の2色で、サイズはM、L、XLの3種類。定価2万4800円。問い合わせは金城さんの工房、電話098(886)7796。

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