岐阜和傘の発展や後継者育成を目的とした一般社団法人「岐阜和傘協会」が13日、設立された。県や岐阜市と共に、国の「伝統的工芸品」などへの指定を目指し、岐阜和傘の魅力の発信やブランド力の向上を図るほか、公募で選んだ職人見習い2人を育てて製作技術の継承にも取り組む。
江戸時代から生産されてきた岐阜和傘は、需要の減少や職人の高齢化、道具や機械の老朽化が進み、生産体制の維持が危ぶまれている。一方で、デザイン性の高い和傘は訪日外国人客の関心が高く、和傘職人を志す若者も増えている。
そこで、和傘作りの講座を開くなど魅力を伝えてきた職人らの任意団体「岐阜市和傘振興会」が中心となって法人化を決断。組織力を高め、後継者育成資金の調達を目的にしたクラウドファンディングや、職人見習いの公募を進め、国の援助を受けやすい伝統的工芸品の指定や選定保存技術の認定を目指す。
岐阜市内で開かれた設立披露会には、古田肇知事や柴橋正直市長らが出席。協会の代表理事に就任した和傘製造販売マルト藤沢商店(同市八島町)の藤澤暁夫代表(56)は「若い人が新しい和傘の可能性を追求できる基盤を作りたい」とあいさつ。職人見習いの2人も発表され、岐阜市出身の近藤智弥さん(32)と長崎県出身の前田健吾さん(37)が「日々精進し、伝統を引き継ぎたい」と意気込みを語った。
クラウドファンディングは24日まで実施中。職人見習いの2人は3年間活動する。