竹工芸の担い手、新たに2人移住 竹原、地元職人も歓迎

「竹の駅」で有田会長(左端)と鍋を囲む、左から大辻さん、野崎さん、宮下さん、佐沢さん、寺本さん

竹原市に、京都伝統工芸大学校(京都府南丹市)で竹工芸を学んで今春卒業する学生2人が新たに移住する。同校の卒業生としては2017年の2人、19年の1人に続く移住で、計5人となる。「竹原が竹の町として根付きつつある証し」と、迎える地元の職人たちも喜んでいる。

京都市の実家から同校に通う野崎萌々(もも)さん(22)と、熊本県出身の大辻絢花さん(23)。編み物が好きだったという2人はそれぞれ進路に竹工芸を選び、4年間、共に腕を磨いてきた。今月中に転居し、アルバイトしながら創作活動に励むという。

先輩を頼って訪れた竹原市で、地元の竹工芸振興協会の職人たちの温かな雰囲気に触れ、近い年代の仲間がいる安心感もあって決めた。2人で古民家を借りてシェアし、竹原市本町の町並み保存地区などに同協会が設けている工房などで創作する予定。

同市では戦後に竹工芸が盛んになり、1982年に発足した同協会には約120人が所属する。野崎さんは「学校で学んだ基礎を生かし、自分なりに応用していく」、大辻さんは「竹原に伝わる技も学び、買ってもらえるような作品を作りたい」と張り切っている。

17年に同校から初めて移住したのが、宮下農(みのる)さん(23)と寺本光希さん(23)。個々の創作に励むほか、子ども向けの講座を手伝うなどしている。2人は移住後、母校を訪ねて竹原の紹介をし、連絡先を残した。それを機に在校生の来訪が増え、19年には佐沢早紀さん(27)が移住した。いずれも広島県外の出身。同校によると、卒業生が京都以外の産地に集まるのは珍しいという。

2月下旬、同協会会員たちが同市下野町の民間施設「竹の駅」に5人を招き、昼食を共にした。有田博行会長(79)は「高齢の会員が多い中、若い5人が竹原を選んでくれたことがうれしい。行政にも協力をお願いしながら応援したい」と目を細めた。

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