佐賀県から優秀技能者の県知事表彰を受けた伊万里焼絵付け師の前田清次さん(69)
伊万里市大川内山に清峰窯を構えて25年。絵付けを極め、その技を多くの人に伝えてきた功績が認められた。「ありがたいこと。これからも自分を励ましながら精進していきたい」と喜ぶ。
絵付けの道を歩み始めたのは15歳の時。左官職人を目指して大阪に出たものの、現場で事故に遭って左腕を失い、帰郷して窯元で働いた。ハンディを背負いながらも「同情されるのは嫌」と負けん気を武器に努力を重ね、伝統工芸士に認定された。
独立後は指導にも力を入れ、東京や福岡で陶芸教室を開いている。東京へは月1回通い、「もうけはないけど、焼き物ファンを増やさないかんから続けています」。佐賀の窯業全体を盛り上げたいと有田焼や唐津焼もPRする。
若い障害者にも指導したいという。自立につながる技術を身に付けてもらうことが、お世話になった人々への恩返しでもある。数年前から行政や施設に声を掛けても実現できていないが「まだ気持ちは若いので諦めません」。