東京都中央区の伝統工芸品「江戸箒(ほうき)」の生産を支えようと、中央区と友好都市である東根市の農家が、原材料となる「ホウキモロコシ」の栽培に取り組んでいる。3年目となる今年は昨年の2倍以上に作付面積を増やし、ノウハウを共有しながら増産を目指している。同区京橋の老舗「白木屋傳兵衛(しろきやでんべえ)に9月中に出荷する予定だ。
白木屋傳兵衛は1830(天保元)年に銀座で創業した老舗。イネ科のホウキモロコシで手編みした独自の座敷ほうきを「江戸箒」と呼び、伝統を守り続けている。原材料としてこれまで茨城県つくば市のホウキモロコシを買い上げてきたが、農家の高齢化で国内産の確保が難しくなり、2年前にJAさくらんぼひがしね(東根市)の農家が生産に乗り出した。
昨年度は農家4人が計約13アールの農地で51キロを収穫。ただ、不安定な天候や収穫時期の遅れの影響で赤みがかったり、トウが立ったりするなど、製品に採用できない穂も目立った。本年度は高崎、東郷、東根各地区の農家6人が収穫時期を早めるなどノウハウを共有し、計約30アールで栽培。日照不足や大雨などに見舞われたが、ホウキモロコシに大きな影響はなく、生育はどの園地でも順調だったという。7、8月に収穫と脱穀、選別の作業を行い、9月中に出荷できる見通しという。
農家の一人、駒沢順一さん(52)=同市本町=は「おととしから栽培を続け、マニュアルを共有しながら取り組んだ。去年よりも高品質だと自信を持っている」と語っている。