燕市産業史料館、金属加工の技術を体感

 新潟県燕市の産業発展の歴史を伝える燕市産業史料館が4月に改装開業した。同市の主要産業である金属加工を体験できる施設を新設したほか、本館の展示スペースを大幅に刷新。ヤスリやキセル、鎚起(ついき)銅器など伝統工芸品の製造工程や現場で活躍する職人を紹介している。

職人の作品と人柄に触れられる

カンカンカンカン――。体験工房では来館者が金属を金づちでたたく音が鳴り響く。30分ほどで凸凹模様が美しい銅製タンブラーが完成した。オリジナルカップは持ち帰れる。体験工房はこうした「つち目入れ」のほか、金属研磨やスプーン作りなどのメニューを取りそろえている。

記者はチタン製スプーンの酸化発色に挑戦した。まず、水槽内の電解液に灰色のスプーンを浸す。24色から好みのものを選び、色ごとに決まった電圧を電解液にかけるとスプーンが変色する。最終的に青いスプーンができあがった。作業時間は1分ほどだ。

史料館は2018年7月から休館し、産業観光拠点としての魅力を高めるため改装を進めてきた。本館はこれまでヤスリやキセルなどの展示にとどまっていたスペースを刷新。学芸員が半年かけて職人を取材した内容をもとに、製造工程を丁寧に解説する。

本館には銅製のやかんやつぼなど燕市を代表する職人の作品とプロフィルを紹介するコーナーも設けた。従来は作品展示が中心で、職人の人柄に触れたものはなかった。学芸員の桑原美花さんは「作り手の個性と日用品の美を感じてもらえたら」と話す。

事前に予約すれば学芸員の案内を受けられる。「作品は繊細だが、作者の人生は破天荒」などと隠れたエピソードが聞けるかもしれない。

燕市産業史料館|新潟県燕市|燕の匠の技に触れ、金属加工技術を知る

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