雄勝硯、後継に光 新卒2人が組合へ就職 「伝統守りたい」

伝統工芸品の職人として期待される遠藤さん(右)と及川さん

石巻市雄勝町の「雄勝硯(すずり)生産販売協同組合」に今春、新卒の遠藤耀一さん(22)=石巻市小船越=と、及川好さん(18)=登米市米山町=が就職した。

さまざまな職種で人手不足や後継者難が深刻化する中、同組合も後継者育成が課題となっていた。「伝統産業を守りたい」などと意欲を見せる2人。組合は、国の伝統工芸品の職人としての成長に期待を寄せている。

遠藤さんは、東北工業大ライフデザイン学部卒。設計や福祉など、町づくりに関わることを学んできた。卒業研究では、雄勝町に再建される雄勝硯伝統産業会館で夏休みの子どもたち向けの雄勝石の箸置き製作などの体験教室や、和紙の産地とコラボし、書の文化を体験してもらう企画を計画。積極的に新たなことに挑戦できる仕事場として、この職場を選んだ。「将来的には、会員制交流サイト(SNS)を用いて硯や雄勝石の良さ、町の現状を発信していきたい」と意気込む。さらに、「思い出とともに作品を持ち帰ってもらい、利用する機会や、継続して雄勝に足を運ぶきっかけにしてもらいたい」と願う。

及川さんは、登米総合産業高を卒業。「自分の手で材料を形にする仕事がしたかった」と話す。雄勝石を使った製品の造形や素材に魅力を感じ、「ぜひ製作に携わりたい」と就職を決めた。「基本の仕事を全うし実用性のある商品を作っていきたい」と決意を語る。

2人は現在、10月に県南の沿岸部を舞台に開催される「東北・みやぎ復興マラソン」の完走者に贈られる雄勝石製メダルを磨く作業などに取り組んでいる。

工芸品の製作に携わる職人は、新人2人を含め10代1人、20代2人、30代1人、50代1人の5人。同組合の事務局長千葉隆志さん(57)は「若い2人が入ってくれたことで、新たな発想での商品作りなど活性化される。早く一人前になって活躍してほしい」と期待している。

元記事はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次