特徴・産地
会津本郷焼とは?
会津本郷焼(あいづほんごうやき)は約400年の歴史を誇る福島県会津の伝統工芸品です。会津本郷焼には陶器と磁器の両方があり、磁器や陶器のそれぞれに特化した窯元、両方を製造している窯元もあります。
戦国時代を起源とするこの焼物は、江戸時代の初期には会津藩の藩主により保護、育成され、その後、奉行所の解散によりそれぞれの窯元が自由に製造を開始しました。そのため、各々の窯元から独自のスタイルで作品が作られています。
会津本郷焼の特徴は、磁器に呉須(ごす)という青色の絵の具を使った染付や、その他日本古来の絵の具はもちろん、西洋の絵の具を使った多色の色絵等様々な種類があることです。
陶器は実用的なものが多く作られ、伝統的な釉薬(ゆうやく)が使われています。青磁(せいじ)、白磁(はくじ)、炭化(たんか)など様々なスタイルがあり、光沢の有無や手触りなども多種多様です。
歴史
会津本郷焼の起源は戦国時代に遡り、1593年(文禄2年)武将、蒲生氏郷公が会津藩主となり、現鶴ヶ城の改築の際に瓦を焼かせたことから焼物作りが始まったと言われています。その後、江戸時代初期には会津松平藩祖、保科正之が尾張の陶工を呼び寄せて本格的な製造が開始されました。
藩の支援を受け、陶磁器の生産は発展していきます。しかしながら、産業は戦争の煽りにより2度の厳しい時代を迎えます。戊辰戦争の時代には、陶工が出陣し製陶工場は戦火で灼かれ、一時は産業が成り立たない状況に追いやられます。その後全村一丸となった活動の末、明治中期には欧米各国へと製品を輸出させるまでに復興を遂げました。
1916年(大正5年)には大火でまたしても製陶工場の大半を焼失して窮地に陥るも見事に再興をとげます。
こうして会津本郷焼は激動の時代を乗り越え、長い伝統を絶やすことなく技術を継承し、素朴な美しさと使い勝手の良い陶磁器としてその名を広く知られるようになりました。
制作工程
1.野ざらし
材料の土は制作の前に一年以上風や雨にさらします。
2.土練
野ざらしにした土をくだき、ふるいにかけた後、水を加えて練り上げます。
3.ろくろ成形
ろくろを使って希望する形状に成形します。ろくろを回転させながら土を延ばし、形を整えながら上部に押しあげ、ろくろを止めてなめし皮にてふちまわりを滑らかにします。
4.乾燥
成形した製品を自然乾燥と加熱乾燥の二つの方法で乾燥させます。製品に絵を書き入れる場合には完成した製品に直接下絵を施す場合と素焼き後に行う方法があります。
5.焼成
窯の中でそれぞれの用法に合わせた時間で焼き上げます。
6. 窯出し
焼き上がった製品は冷めて割れることを防ぐため、窯の中でじっくりと時間をかけて冷まし、完全に冷めた状態で窯から出します。
7.検査
焼き上がった製品は不良品がないか最終確認をします。