平泉町の宿泊交流体験施設「浄土の館(たち)」主催の伝統工芸教室「秀衡塗について学ぼう」は16日、同町平泉字毛越の同施設で開かれ、参加者が秀衡塗の歴史や伝統技法を生かした新たな試みなどに理解を深めた。
町内の家族連れら10人が参加。同町平泉にある「翁知屋」代表取締役の佐々木優弥さんが、約150年前から奥州市衣川の増沢地区で漆塗り工房を営んでいた同社の歴史や、職人がさまざまな工程を経て仕上げる漆器の作り方を学んだ。
作業工程の説明では、佐々木さんが白木の木地素材や下塗りを施した段階のわんを手にしながら、わんは木地の状態で約5年かけて乾燥させることなどを紹介。16世紀に作られた秀衡塗のわんも持参し、十分な手間と多くの熟練した職人の技術が長く使われる工芸品を生み出すと語った。
伝統技法を生かした新たな試みでは、2016年の伊勢志摩サミットでG7各国首脳に贈られた酒杯など従来の枠を超えた発想やデザインで開発した商品を示し、「伝統を壊すのではなく、時代に求められるものに伝統をのせて進化することで、技術を継承することができる」と述べた。
母親と参加した平泉小学校3年の安藤大翔君(9)は「秀衡塗が食器だけでなく新しい日本刀にも使われていて驚いた」と語り、展示された漆器に熱心に見入っていた。