国宝や海外にある日本の文化財などの精巧な複製品を用いた出前授業を、文化財活用センターと東京国立博物館が今年度から全国の学校で始めた。鑑賞機会が限られた貴重な文化財でも、子供たちに本物に近い体験をしてもらうことが狙いだ。
東京都板橋区立上板橋第二小学校で先月行われた公開授業では、長谷川等伯が描いた国宝「松林図屏風(びょうぶ)」(同博物館所蔵)の複製品が体育館に持ち込まれた。児童は作品に近づいたり、照明を変えたりしながら鑑賞。牛木愛未(まなみ)さん(12)は「絵を下から光で照らすときれいだった。博物館にも行ってみたい」と話した。
びょうぶや日本画の複製品は、キヤノンなどが本物を望遠レンズで多分割撮影し、現場で色合わせしながら和紙に印刷して制作。金箔(きんぱく)の張り合わせなどを伝統工芸士が手がけ、一般の人では見分けがつかないレベルで忠実に再現しているという。同センターでは、授業で活用する学校などを募っている。【手塚耕一郎】