築50年を経た京都市東山区の大谷本廟(ほんびょう)(西大谷)の納骨堂「第一無量寿堂」を芸術的な光で彩ろうと、日本とドイツの芸術家や京和傘職人が協力して作った照明が完成した。堂内に設置し6日、お披露目された。
暗くて冷たいイメージのある納骨堂の魅力を引き出す狙い。浄土真宗本願寺派の僧侶で建築家のラングナー寺本・ベッティーナさん(54)=大阪市西成区、メディアアーティストのトビアス・デームゲンさん(39)=ドイツ在住、京和傘製造業「日吉屋」社長の西堀耕太郎さん(44)=上京区=の3人が2年前から構想を練り、制作を進めてきた。
照明は和傘の技法を生かして和紙や特殊な布で作り、直径約120センチ高さ約90センチの円筒形。3基あり、胴の部分にはそれぞれ藤の葉と花、つるの柄が切り抜かれている。藤の一生ともいえる図柄を通して時の流れを表現したといい、点灯すると切り絵の柄が壁に映り込み、柔らかな光が堂内に広がる。
天井からつり下げる飾り具「瓔珞(ようらく)」にも音に反応する照明装置が取り付けられ、読経などに合わせてリズミカルに点灯する。
この日は3人が登壇するセミナーがあり、ラングナー寺本さんが「お浄土を思わせるような柔らかな光で無量寿堂のイメージが変われば」と語るなど、照明による宗教的な空間の可能性についてそれぞれの思いを語った。