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ネズミと米俵に70年の技
ろくろ一筋70年の伊万里・有田焼伝統工芸士、村島昭文さん(84)=有田町=が、来年の干支(えと)にちなみ、ネズミの置物を制作した。干支作りは4回目。白磁で手のひらサイズの大小のネズミと、五穀豊穣(ほうじょう)を意味する米俵も作った。
ろくろでの置物作りは技術が求められるという。村島さんは湯飲みの形から、さらに斜めに傾けながら口をすぼめて成形。くし目で毛並みも表現した。「尻尾はあえて大きめ。置物はどこかを強調するのがポイント」と、こつを話した。
村島さんは深川製磁で、宮内庁に納める食器作りを約40年担当した。現在は自宅前の工房で、材料費や光熱費だけで後進を指導する。制作意欲も衰えず、今年は深川製磁の初期に作られたデミタスカップ&ソーサーの再現に挑戦。10回目となる17世紀の古陶磁「白磁百合型小鉢」の再現は「ようやく納得いくものができた」と話す。
ネズミの置物は年明けから、同町大樽のギャラリー昭文で展示する。問い合わせは村島さん、電話0955(42)3675。