和紙と布のマスク、1500年の伝統で新型コロナ封じ

新型コロナウイルスの感染拡大でマスクが不足するなか、1500年の歴史を持つ伝統的な和紙「越前和紙」を扱う会社と縫製会社が協力し、布マスクを開発した。一般的なマスクの材料が入手しにくくなっている中、和紙の持ち味を生かすことで商品化にこぎつけた。

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和紙とのマリアージュ

福井県越前市の縫製会社「ファインモード」には2月になると、「マスクを作れないか」という問い合わせが来るようになった。

だが、飛沫(ひまつ)の飛散防止に効果が高く、マスクの材料として適した不織布は手に入りにくくなっていた。同社の上坂達朗社長は「不織布以外では目が粗いと聞き、製造をためらっていた」と振り返る。

だが、上坂社長は周囲と相談しているうち、地元の伝統工芸・越前和紙の活用を思いつく。和紙と組み合わせれば、不織布と比べて目が粗い一般的な布の弱点を補えると考えたのだ。2月下旬、福井県和紙工業協同組合にかけ合うと、組合理事長を務める石川製紙(同市)の石川浩社長とつながった。

実は同社にも「和紙をマスクに使えないか」との声が寄せられていた。

試作してみたが、通気性が悪く息苦しい。それを解消しようと大きくすると、ブカブカしたものになり顔にフィットしない。和紙だけでマスクを作ることは不可能だった。

布マスクはミシンで縫い上げた手製だ=福井県越前市のファインモード

こうした中で両社は出会った。そして、足りない部分を補い合い、マスク開発に乗り出す。

特許技術の消臭効果

ファインモードは布マスクを作れるが、一般消費者に商品を届ける販路がなかった。一方、石川製紙は和紙製品を販売する子会社があり、ここがマスク販売を担うことにした。

型紙や布の合わせ方、ひもの長さなどを変えて着け心地を確かめ、試行錯誤を重ねた。そうして素材は表面にポリエステル、口が当たる裏面にはオーガニックコットンを採用。和紙を間にはさみ込み、マスク本体は洗って繰り返し使ってもらう仕様にした。

和紙をはさみ込む布マスク=福井県越前市

はさみ込む和紙はヨウ素をすきこんでいる。石川製紙が開発し、消臭効果を確かめて「消臭和の紙」として特許を取得したものだ。

3月1日に試作品を作り始め、9日から早くも生産を本格化。24日までに1万5千件の注文が殺到したという。

上坂社長は「マスク不足で多くの人が困っていると身に染みた。良いものを力を合わせ作っていく」とし、現在は1サイズだけのものを子供用を増やすなどしていく考えだという。

和紙マスクは、布マスク1枚・取り換え和紙5枚のパッケージで1650円(税込み)。問い合わせや注文は、石川製紙の販売子会社「紙和匠」の販売ページ(https://nunomask.base.shop/)。

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