首里織や紅型などの伝統工芸品を取り入れた県産のスポーツ用品が、増えている。ウエットスーツ、ゴルフバッグなどのゴルフ用品、普段着にも使えるポロシャツ、リュックサックなど、幅広い。贈答用の需要があるほか、こだわりを求めるスポーツマンらにも人気だ。マリンスポーツやスポーツのキャンプ誘致などが盛んな沖縄。地域ビジネスの活性化や、伝統工芸の産業振興にもつながると期待が高い。
キューカンパニー(那覇市、駒木根澄子代表)は、紅型や八重山ミンサー織などを使ったゴルフブランド「Tee-chi」を展開。ゴルフバッグや、ゴルフボールのマーカー、クラブカバー、紅型などをプリントしたウエアを販売している。
プロゴルファーの上原彩子選手らが愛用。2016年と18年に那覇市長賞を受賞し、17年には優良県産品にも選ばれたこともあり、18年の売り上げは前年比120%と伸ばした。駒木根代表は「今後は化石サンゴを練り込み作った繊維『サンゴファイバー』なども使ってビーチウエア、マリンレジャーに使える商品開発を進める」と語る。
オキナワブレッシング(うるま市、角倉明社長)は、紅型を特殊プリントした生地で、オリジナルのウエットスーツを製造、販売する。生地は国内の別工場で製造するが、採寸から型紙制作、接着と縫製まですべて同社の職人の手で作られる。
県内のダイビングショップや障がいがあるダイバーに販売しているほか、既製品を修理する際のカスタム需要などもある。開発から1年ほどで、約500着以上が売れた。角倉真理店長は「五輪やパラリンピックもあるので、パラアスリートや海外に販路を拡大していきたい」と力を込める。
大高商事(那覇市、中村裕二社長)は、県産ブランド「かりゆしスポーツ」を展開し、読谷山花織と知花花織を取り入れたポロシャツを販売。中村社長は「普段使いしてもらいながら、ゴルフ場やスポーツ施設の制服なども提案していきたい」と話す。
県内には国指定の伝統工芸品が16品目ある一方で、担い手確保や生産額の伸び悩みなど課題もある。那覇伝統織物事業協同組合の仲宗根綾副理事は「後継者育成事業の募集などもしている。スポーツウエアなどとコラボすることで、若い人に知ってもらい、身近な存在になってもらえれば」と期待した。