結城紬(つむぎ)の「糸つむぎ」後継者を育成しようと、初心者向けの講習会が11日、結城市国府町1丁目の市民情報センターで開かれた。産地では、生産に欠かせない糸の不足が深刻化。関係者が一丸となって、糸の確保や伝統保持に乗り出している。初心者向けのDVDや道具を使い、自宅で糸を紡いでもらう取り組みで、3年目を迎えた。
産地では、真綿から指先で糸を引き出す「糸つむぎ」の技術者が高齢化などにより減少しており、糸の不足が深刻化している。
講習会はこうした現状を打破しようと、生産者や卸商、検査機関の5組合が実行委員会をつくり開催。糸つむぎの道具が一式そろった「スターターズキット」を貸し出し、郵送などで糸をやりとりする。紡いだ糸は太さや重さなどを検査し、買い取る仕組みだ。
11日は、結城市を中心に7人が参加。長野県や千葉県からも駆け付けた。伝統工芸士による実演を見学したほか、キットの使い方の説明を受けた。千葉市から訪れたヘアメークの女性(36)は「着物の着付けを習っていて産地の話を聞く機会があり、結城紬の糸が不足していることを知った。難しそうだが自宅でできるということでやってみたい」と話した。
現在は、県内外の約30人がキットを使って糸つむぎに取り組む。紡いだ糸は買い取られているが、生産者が必要とする太さの糸が十分に賄えているわけではなく、糸の不足は続く。品質の維持と糸つむぎの技術向上が課題という。
本場結城紬卸商協同組合の藤貫成一副理事長は「結城紬は世界でも類を見ない絹織物。他の糸では代替できない。結城紬を守っていくため、協力してもらいたい」と呼び掛けた。
講習会は、市伝統工芸コミュニティーセンターで来年3月まで定期的に開催。
問い合わせは同組合(電)0296(33)2333。