竹田市の伝統工芸品「姫だるま」の製作が、ごとう姫だるま工房(市内吉田)でピークを迎えた。家内安全、商売繁盛を願う新年の縁起物。年末までに約200体を仕上げる。
愛らしい表情は約370年前の旧岡藩下級武士の妻「綾女(あやじょ)」がモデルとされる。顔の周囲は松竹梅、頭部に太陽を意味するひし形、背中には厄よけの宝珠を描く。大きさは20~50センチの5種類。
市内に複数あった工房は、戦時中に姿を消して一度は途絶えた。1950年代に後藤恒人さん(故人)が復活させ、現在は恒人さんの長男の妻明子さん(82)と、明子さんの長男の妻久美子さん(62)が受け継いでいる。
木型作りから絵付けまで16の工程があり、1体を仕上げるのに約1週間かかる。顔を描く明子さんは「令和になって初めて迎えるお正月。家内はもちろん、社会全体が平穏でありますように」と願いを込めた。