水戸藩の奨励産業として歴史のある「水府提灯(ちょうちん)」作りを体験できるイベントが11日、水戸市常磐町の偕楽園の好文亭で開かれた。参加者たちは職人から説明を受けながら、絵付けや紙貼りなど伝統ある提灯作りに挑戦した。
講師を務めたのは、寛政10(1798)年創業の蔭山利兵衛商店(水戸市本町)の社長で県伝統工芸士の蔭山興一さん(61)。岐阜、八女とともに提灯の日本三大産地と言われる水戸で、水府提灯の技術を守り続けている。
参加者たちは同店のスタッフから手ほどきを受け、徳川斉昭ゆかりの「魁」の文字を提灯に絵付け。何度も墨を付け、ゆっくりと慎重に筆を運んだ。
水府提灯は一般的な提灯と違い、輪にした竹ひごを並べてつなぎ合わせる独自の工法で作られ、堅固性が特徴。蔭山さんは「丈夫で長持ちする製品作りをこれからも続けていきたい。体験を通じ、少しでも水府提灯を身近に感じてもらえればうれしい」と願った。
友人2人と絵付けに挑戦した笠間市の主婦、柿長久二子さん(68)は「手触り、雰囲気がとてもすてきで心落ち着いた。伝統を大切にしたいと改めて感じた」と話した。
催しは県が主催。偕楽園の有料化に合わせ、魅力向上の取り組みとして企画された。県外客の有料化に続き、15日開幕の「水戸の梅まつり」では県内在住者の料金徴収も始まる。