輪島漆塗りでメンズ小物 ネクタイピンや名刺入れ

輪島漆塗りを施したメンズの小物類=輪島市宅田町

輪島漆塗りを施したネクタイピンや名刺入れなど男性向け小物が、紳士服チェーン大手「洋服の青山」の商品に加わった。輪島市内に店舗を構える縁がきっかけで、同社が伝統工芸の産地と連携して商品開発したのは初めて。地元では、職人の技を広く発信すると共に、ファッション市場の開拓につながる取り組みと期待されている。

「洋服の青山」を展開する青山商事(広島県福山市)と輪島市市ノ瀬町の加波(かば)次吉漆器店が共同で開発の乗りだし、ネクタイピンは棒状と眼鏡状の2種類に加え、カフリンクスと名刺入れを仕上げた。艶やかで深みのある黒塗りと赤い漆の上に透漆を塗った溜塗りをそれぞれ施し、和をイメージした桜を金の蒔絵(まきえ)で表現した。

明治創業の加波次吉漆器店の職人が仕上げた一点物で、計400点を制作した。2月から洋服の青山輪島店を含む北陸三県の19店舗と東京・銀座本店で並んでおり、同社オンラインストアでも取り扱っている。

青山商事は昨年3月、下取りスーツを再利用して作った災害対策用備蓄毛布を輪島市に寄贈した。これを機に、地域貢献の一環として、産地の活性化につながる活動を検討した結果、輪島漆塗りを施した小物開発に踏み切った。

同社広報部の担当者は「輪島漆塗りを取り入れたメンズの小物を通じて、いろんな方に輪島漆塗りを知ってもらい、魅力を伝えていきたい」と話した。

加波次吉漆器店4代目の加波基樹代表は「漆製品は身近なようで、持たない人も多い。ビジネスアイテムとして身近に使ってほしい」と語った。

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