奈良で創業150年の小さな老舗墨屋「錦光園(きんこうえん)」が、2019年から始めている「奈良墨の案内役プロジェクト」は、今回のプロジェクト趣旨のもと新型コロナウイルスによる外出自粛の影響も踏まえ、令和2年12月上旬から自宅にお送りした体験キットを用い、オンラインにて直接墨に触れ墨作りの体験を行う事の出来る【オンライン墨作り体験「奈良墨職人」】を開始します。
小学校の授業等において、墨液主流で「墨を磨った事がない」という方達が増えた今日。「もっと多くの方に墨に触れてほしい」そんな想いから開始したプロジェクトです。
奈良墨は2年前、経済産業省より国の指定する伝統工芸品目にも選ばれました。日本古来より重宝され続けた筆記具である墨ですが、昨今の需要は激減しており、日本の墨の9割以上を生産している奈良市においても残された墨屋はもはや10軒にも満たず、長年大事に繋がれてきた伝統存続の危機的な状況におかれています。
そこで錦光園では「墨にもっと触れてほしい」という想いから、墨や産地の魅力を伝える場として、実際に手に触れ墨を制作する内容を織り交ぜたオンライン体験を発信するに至りました。
オンライン墨作り体験「奈良墨職人」の概要
- 墨の歴史/材料に関する講義
- 実際の工場内での墨作り実演見学
- 参加者による「にぎり墨」の制作
- 産地内の職人に関する講義と墨の仕上げ体験
- 質疑応答 など
工房概要(錦光園について)
江戸時代より代々墨職人の家系であり、明治時代に奈良でも由緒ある墨屋「古梅園」の職長を務めた長野亀吉が独立し創業。以来、奈良に伝わる伝統的な製法による墨作りを今日に至るまで続けています。「奈良墨の案内役」をテーマに掲げ、墨の魅力を広く普及させる為に、15年以上前から、工房内で一般向けに、墨に関する講義や製造の実演見学、また実際に参加者に墨を制作してもらう「にぎり墨体験」を実施。体験目的の来訪者は現在、国内外含め年間4,000人に至ります。
他にもインテリアとして墨の新しい可能性を提案した商品「香り墨Asuka」の開発を始め産地の関係者・職人を同業者の立場から取材を重ね世に紹介していく取り組み「奈良墨のひと」、一般層向けに墨の無料試し磨りをECサイトを通じて行う「試し墨」など、産地の復興を目指し、墨を世に伝えるための活動を日々続けています。
オンライン墨作り体験「奈良墨職人」 開始日
令和2年12月上旬より
実施日 : 12月19日(土)・26日(土)・1月9日(土)・15日(金)・23(土)・27日(水)