ろくろの伊万里・有田焼伝統工芸士、村島昭文さん(83)=有田町=が、幕末明治期の輸出品だったカップ&ソーサー(碗皿)の形の再現に挑んだ。碗上部が丸みを帯びた形で「成形は難しかったが、求めたものに近づいた」という。
深川製磁で宮内庁に納める食器を約40年作っていた村島さん。制作意欲は尽きず、古陶磁や名品の再現に取り組んでいる。今回は昨秋、有田陶磁美術館で開かれた「お茶を召しませ! 幕末明治のカップ&ソーサー展」に並んだ逸品「色絵金彩風俗図」に挑戦した。
弟子の大場美央さん(38)が「シンプルながら誰もが美しいと感じる形」と制作を進言。碗皿ともに菊形で、碗は上部が内側にカーブして口辺部がややすぼまっている。村島さんは「型で作られたものかもしれないが、職人としてろくろでやってみたかった」。
上絵は詳細な資料がないため、大場さんが新たにデザインする予定だが、「元の着物姿の女性や子どもの絵柄に似たものができれば」と別の絵付け希望者も募っている。