和紙の世界に触れる 紙すき体験、コウゾの生産現場見学

千田崇統さんの手ほどきを受けながら紙すきを体験する報道関係の女性=美濃市蕨生、Warabi Paper Company

岐阜県美濃市中心部のうだつの上がる町並みに昨年7月開業した宿泊施設「NIPPONIA美濃商家町」は3月にも、宿泊客が美濃和紙の関連施設を巡る「地域体験型プラン」を始める。東京五輪・パラリンピックに採用された美濃手すき和紙の表彰状をすく和紙職人の工房での紙すき体験や、和紙原料コウゾの生産現場の見学など3種類のコースを用意する。

宿泊客から「和紙の文化に直接触れたい」との要望があり、新たなプランを作った。観光客向けに造られた施設ではなく、地域に根付く”本物”の和紙工房や関連施設で体験や見学をしてもらう。

「手すき和紙体験」は、美濃手すき和紙協同組合員の和紙職人千田崇統さん(36)の同市蕨生の工房で職人と会話を楽しみながら紙をすく。「Washi-naryツアー」は、NIPPONIA美濃商家町に併設された和紙専門店「Washi-nary」と連携し、コウゾの畑や和紙製品が完成するまでの一連の工程を学ぶ。「活版印刷体験」は、活版印刷機を使って美濃和紙のコースターやメッセージカードを作る。

7日には報道関係者にプランが公開され、千田さんの工房では関係者が手ほどきを受けながら紙すきを体験した。すいた紙はその場でモミジの葉や色付きの和紙で装飾し、薄い落水紙を重ね乾燥させて持ち帰ることができる。

山裾に広がるコウゾ畑を紹介する辻晃一社長=同市片知

NIPPONIA美濃商家町は、空き家となっていた和紙原料問屋の別邸(通称・旧松久才治郎邸)と蔵を客室として改修し、「和紙のつくった町に出逢(であ)える宿」として観光客を受け入れている。機械すき和紙製造の丸重製紙企業組合(同市御手洗)と、全国で古民家再生事業を手掛けるNOTE(兵庫県丹波篠山市)が共同出資して設立したまちづくり会社「みのまちや」が運営を担う。

みのまちやの辻晃一社長(40)は「新プランを通じて美濃和紙を知り、実際に触れてもらうことで、地域の魅力を伝えたい」と話している。

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