那賀町拝宮地区に伝わる拝宮和紙作りが、唯一の手漉き和紙職人中村功さん(70)の工房で行われている。3月末まで。
コウゾの繊維やノリウツギの皮から取れる溶液を入れた水槽「漉き舟」に「簀桁」を浸し、縦横に振って繊維を絡ませ、均等な厚さの紙に仕上げている。
和紙作りは、雑菌が少なく、ノリウツギの粘り気が出やすい厳冬期に行われ、今年は20日から始めた。ふすまや障子用の和紙(縦約60センチ、横約1メートル)約千枚を漉き、県内外で展示即売会を開く。
拝宮地区では戦後、60軒ほどの農家が副業として障子紙を作っていた。需要減や高齢化で担い手が減り、今では中村さんだけになっている。