京都の伝統工芸を後継する職人たちのプロジェクトユニット「GO ON」と大手家電メーカーのパナソニックがコラボレーションするプロジェクトです。
このプロジェクトでは、茶筒や焼物、木工芸などの伝統工芸と家電がコラボレーションしています。
プロジェクトコンセプト
便利や快適を超えて家電が再び人々のココロを動かすために。
Panasonic Designは新しいプロダクトのあり方をさがしはじめています。
それがKyoto KADEN Lab.。
スタートは、暮らしの中に豊かさを見出す知恵と歴史に満ちた京都。
そして、伝統工芸を「技」と「素材」まで解体し、国内外で今までにないモノづくりを生み出す「GO ON」との出会い。
「GO ON × Panasonic Design」プロジェクト。
数百年の歴史を背負いながら、あらたな未来をクリエイトしようとする職人の手。
人々の内なる感覚までも呼び覚ます、細やかで奥深い、日本のモノづくりの源流。
けっして大量生産はできないかもしれないけど、世界で唯一無二のクラフツマンシップ。
それらと先進テクノロジーが融合するとき、何が生まれるのか。
この国の美意識や感性、文化のなかにこそ、家電の未来が潜んでいるのかもしれない。
私たちは、京都を舞台とするさまざまなクリエイト活動を通してさがしつづけます。
こちらのプロジェクトで制作しているものは、10種類ほどあります。
銀釉 gin-yu(朝日焼)
「お茶の豊かさを五感で愉しむ茶器」
朝日焼に施された銀彩の伝統技法とIH技術の組み合わせで生まれた磁器の湯盤が、美しい木のカウンターの上にそのまま置かれ、その水が湧くという驚きをつくりだす。
「お茶を愉しむ」という日常の中の非日常の時間を豊かに演出します。
響筒 kyo-zutsu(開化堂)
「掌で音を感じ、表情を愉しむコンパクトスピーカー」
蓋の開閉に合わせて音をON/OFF。
開化堂の茶筒の蓋の優雅な動きとともに、ふだん何気なく耳で聴く音を掌で感じるという新鮮な感覚が楽しめます。また触れれば触れるほど変化する素材の表情も魅力。
使い込むほどに愛着がわいてきます。
水甬 sui-you(中川木工芸)
「IHからの非接触給電によって水を冷やし、回転水流を起こす木桶」
懐かしくもモダンな中川木工芸の木桶の中で、野菜や果物が水流でやさしく冷やされます。
それは清らかな水流でとれたての作物を冷やすという、日本の食の原風景を思い起こさせます。
月灯 gettou(公長齋小菅)
「陰と光を愉しむLEDペンダントライト」
公長齋小菅の竹の編みが生み出す自然なリズムの陰と、ライトの底面が月のように宙に浮かび上がる光の調和。
まるでお月見のように明かりそのものを愛でる愉しみを、現代の暮らしの中に取り入れようという試みです。
燗酒器 kan-shuki(中川木工芸)
「桶の製作技法でつくられたIH対応の木製の燗徳利」
中川木工芸の伝統的な技法を進化させたこのモダンな酒器は、IHを利用した温度制御が可能。
「人肌燗」「ぬる燗」「上燗」といったそれぞれのお酒にあった微妙で最適な呑み頃を提供することで、お酒の時間をおもてなしに変えます。
銀砂ノ酒器 ginsa-no-shuki(中川木工芸)
「IHからの非接触給電によって中の銀砂(金属粒)を冷やし、冷酒を愉しむ木桶」
中川木工芸の白木の桶の中に広がる銀の砂。
その中に器をうずめて冷やすという不思議な作法。
IHとペルチェを利用した冷却技術により、お酒を愉しむ新感覚の時間をつくりだします。
竹コロ take-koro(公長齋小菅)
「竹の隙間からこぼれる光を愛でるLED照明」
公長齋小菅の“やたら編み”がもつ不均一で表情豊かな編み目。
そこからこぼれる光は、半導体の無機質な光を、生命力が感じられるやわらかで有機的なものへと変容させます。
網香炉 ami-kouro(金網つじ)
「体験、記憶を膨らませる香炉」
バッテリーによる熱源と、熱伝導性の低い、未来の素材として期待されるチタンを組み合わせたパーソナルな香炉。
金網つじの緻密な菊の文様から立ちのぼるクローズドな香りが、自分だけの世界にいざなってくれます。
食事と組み合わせれば、いままでにない新しい体験が楽しめます。
織ノ響 ori-no-hibiki(細尾)
「音と織で空間をつくるパーティション」
細尾の西陣織がもつ立体的な織に手が触れたとき、生地に織り込まれた金銀箔がセンサーとなり音を奏でます。
さらにユニットの自由な組み合わせで空間を彩るという、視覚と聴覚、触覚を同時に刺激する音の建具です。
カンナ屑ノ灯 kannakuzu-no-akari(中川木工芸)
「うすく削り取られた木屑から透ける柔らかな光と、澄んだ木の香りを楽しむ照明」
長年培われてきた中川木工芸の確かな手技は、一片一片のカンナ屑にも表れます。
木屑から洩れる光は、シンプルながら「職人の手技のあたたかみ」を存分に感じさせてくれます。
・細尾
元禄年間(1688年)創業
「帯」や「きもの」に加え世界のラグジュアリーマーケットに向けた、西陣織による革新的なファブリック開発に積極的に取り組む。
・朝日焼
開窯1600年。
小堀遠州の「遠州七窯」に教えられる茶陶の名門。
・公長齋小菅
1898年の創業以来、「竹工芸の価値を高める」という理念の下に「古典と現代の融合」を創作理念とした様々な竹製品を生み出している。
・開化堂
日本最古の手作り茶筒の老舗。
高い気密性を持たせる技術のみならず、使うほどに味が出る茶筒は海外でも多くのファンを持つ。
・中川木工芸
卓越した木桶の技法を受け継ぎ、国内外で注目を集める。
生み出された「シャンパンクーラー」はドンペリ公認となる。
・金網つじ
「脇役の品格」という理念のもと、時代を超えて職人が受け継いできた技術を守りながら、新しいモノづくりに挑戦している。