木曽産材の桶 セラ真澄で「桶数」展示会

木桶作りを実演する伊藤匠さん

木曽地方で1軒のみとなった手づくりの桶屋、桶数(上松町)の展示会が諏訪市元町の宮坂醸造直営ショップ「セラ真澄・松の間」で開かれている。国内最年少の桶職人で3代目の伊藤匠さん(26)、現代の名工の2代目、今朝雄さん(63)親子が卓越した技術を実演している。3日まで。

木桶は、古くから日本の伝統工芸として生活に密着。ふろ桶やたるなど隙間なく組み合わせることで水を漏らさない技術は熟練した職人の“技”でもある。一方でプラスチック容器の普及や醸造業の衛生上の理由などから、一般での使用が激減。全国の桶屋も減り、県内でも数少ない業種となっているという。

匠さんは、京都の桶屋で修業し家業に入った。全国では同年の職人が九州に1人いるだけで、先輩職人とは10歳以上の開きがあるといい、伝統工芸を受け継ぐ貴重な存在だ。

初代が江戸の技術を学び創業した桶数。2代目の今朝雄さんはその技術を継承した。匠さんは関西系の技術を習得。関東と関西の両方の技が桶数の強みという。

木桶はヒノキやサワラなど5種類の木を使う。地元の木曽産の材にこだわって作られる作品は、木の香りが漂う味わいある物ばかりだ。最近では日本の伝統文化を好む海外からの注文が主流といい、結露が付かないワインクーラーなど時代に合った作品もお目見え。人気が高いという。

展示会では今朝雄さんの作品を中心に、桶や小物約150点を展示。匠さんらは長さ1メートルの正直カンナと正直定規を使い実演。手際よく小さな桶などを仕上げる。くるくると丸まった独特の「かんなくず」は香りも良く、希望者に無料で配布している。

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