常陸太田市で作られている「雪村うちわ(太田団扇)」と「河合の箒(ほうき)」を紹介する「常陸太田の伝統工芸展」が20日まで、同市西二町の市郷土資料館「梅津会館」で開かれている。家電製品の普及で生産が減少しているものの、伝統を守って市内で作られている生活道具の良さを伝えている。
同展は地域に根付く工芸品や生活道具を紹介しようと、特定非営利活動法人「結」が企画した。
雪村うちわは室町時代の画僧・雪村がうちわに墨絵を描いて檀家(だんか)に配ったことが始まりと伝わる。真竹に刃を入れ、イグサで編んで骨組みを作り、夏野菜や水戸八景などが描かれた和紙を張る。独特のかまぼこ形が特徴だ。
河合の箒は河合地区で100年以上の歴史があり、地域で栽培した在来作物のホウキモロコシで作るのが特徴。ほうき作りは全て手作業の力仕事で、ほうきの種子から製法まで継承されているという。
会場には、馬やかかし、だるまなどを描いた雪村うちわ11点をはじめ、うちわや雪村うちわの歴史、道具や制作過程を写真入りの大型パネルと解説文で紹介している。河合の箒コーナーでも実物を展示し、制作過程を写真パネルやビデオで紹介。箒づくりの作業場も再現している。
開館時間は午前9時から午後5時(入館は午後4時半まで)、月曜休館。入場無料。