熟練の研磨職人の粉じんから生まれたオブジェも 諏訪田クラフトフェア

6月15日(土)、16日(日)と三条市高安寺の株式会社諏訪田製作所のショップで「諏訪田クラフトフェア」が開かれており、諏訪田製作所の社員が製品とは別に作ったクラフトマンシップあふれる1点ものを販売。組子のコースターを作るワークショップも行っている。

諏訪田製作所のショップで開かれている「諏訪田クラフトフェア」

社員8人が会社の仕事の延長や会社で使う技術とはまったく別の技術で作った作品を販売している。布製のポーチやレザークラフト、金属製のアクセサリー、諏訪田製作所の廃材などを使った盆栽のミニチュア版などもある。

同様のイベントを昨年秋に初めて行った。2011年にショップがオープンから9年目になり、常に新しい展開で新鮮味をと企画した。職人は手先が器用で、仕事以外にもものづくりをたしなむ人が多い。その腕を生かし、自分で好きなものを自由に作って販売する、ものづくりの喜びの原点も味わってもうのがねらいだ。

研磨で出る粉じんで熟練職人だからこそできる角のような形のオブジェ

売り上げは会社を経由せず直接、作った社員に渡す。その商品を買う行為が、お気に入りの社員を支援するクラウドファンディングのような役割も果たす。農産物の販売では生産者の顔が見えることに価値を感じる人が多くなっているが、ものづくりでも作った人の顔が見えるようにしたいという思いもある。

研磨の粉じんでできた角のような形のオブジェが興味深い。「作った」というより「自然にできた」。製品を研磨すると削り取られた粉じんが床に積もっていく。研磨作業が安定していないと粉じんは山のように積もるが、常に同じ位置、同じ角度で次々と製品を研磨すると、粉じんがピンポイントで積もり、鍾乳洞の石筍(せきじゅん)のように積もっていく。それをアクリルで固めてオブジェにした。熟練の研磨職人だからこそできるもので、技術がなければねらっても作るのは難しい。まさに技術の証だ。

大湊文吉商店による組子のコースターを作るワークショップ

研磨職人の女性が作る布製のポーチなどは、ふだんからクラフト関係のイベントで販売しているとあって玄人はだしの完成度。革製のマネークリップは開発のデザイナーが入院中に覚えたレザークラフトの技術で作った。会社でも販売している排材を利用したブランキングアートを自分なりにアレンジした作品も。作品には製作した社員の紹介文も添えてあり、親しみがわく。

ワークショップで作る組子のコースター

ワークショップは加茂市の屏風などを製造する大湊文吉商店が担当。秋田杉を使った組子のコースターを作る。参加費千円。「組子」は釘を使わずに木を組み付ける技術。精巧に加工されたキットを用意しており、組み付けるだけだが、力を加えると部品が折れることもあって意外に難しい。押し込むだけで溝にぴしっとはまる感触は快感で、15日はワークショップを知らずにショップを訪れた人も興味津々で参加していた。

16日は午前10時から午後6時まで営業。

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