魅力生む新発想 廃品を倒木を工芸品に再生

那覇市の沖縄県立武道館と奥武山公園で開催中の「沖縄の産業まつり」は26日、県内の企業・団体が新しい発想や挑戦で開発した多彩な技術や製品をPRした。また、地域素材を使った食品では、地産地消や県産品の県外出荷につながる動きも見え、期待が高まる。伝統的な食材・商品から沖縄ならではの課題を解決する新製品まで、沖縄の産業の現状と可能性が見えてきた。

「しまどうふショコラ。」をPRする池田食品の瑞慶覧宏至代表(右)ら=那覇市の奥武山公園

第43回沖縄の産業まつりでは、企業が廃品を工芸品に再生する取り組みを紹介している。酒の空き瓶がオーダーメードの酒器やグラスに、倒木や廃材がスプーンに生まれ変わり、これまで捨てられてきた材料を創意工夫で製品によみがえらせている。循環型社会への関心が高まる中、新たな事業展開として県立武道館内の県工芸振興センター展で発信している。

ガラス工房「ブンタロウ」(北中城村)の壷内文太代表は、泡盛や日本酒などの酒瓶を使った琉球ガラスのギフト開発を進めている。新規事業の展開や既存事業のブランド価値を高める目的で、同センターが実施する「工芸価値創造塾」の一環だ。

泡盛や日本酒などの酒瓶から作った琉球ガラスのグラスや酒器を紹介するガラス工房ブンタロウの壷内文太代表

壷内代表は、観光客や県民が旅行、お祝いなど特別な日に飲んだ酒瓶をグラスや酒器にして愛用してもらう事業を計画。「思い出のある酒瓶から作ることで愛着もわく。好きなお酒をオーダーメードの酒器で飲めば、よりおいしく感じるのでは」と期待する。

酒瓶を工房に持ってきてもらい、購入者の要望を聞きながら数種類の定型デザイン図にアレンジを加えていく。価格は現時点で、ペアグラスが6千円、とっくり付のセットが7500円(いずれも税抜き)で検討。来年4月に新事業として開始予定だ。

障子やふすまなどの建具を製作している知念パネル(糸満市)の知念兼秀代表は、倒木や廃材を木製スプーンに加工している。

倒木や廃材から作ったスプーンを手にする知念パネルの知念兼秀代表=26日、那覇市の県立武道館

台風で大量の倒木が処分されているのを知り「樹齢のある木材で利用価値があるのにもったいない」と思ったのがきっかけだ。フクギやアカギ、ガジュマルなどでスプーンを製作。軟らかな木は持ち手を太くし、耐久性を維持する。

販売だけでなく、昨年11月からスプーン製作体験のワークショップを開催し、廃材を利用した家具づくり体験の教室も7月から始めた。

フェイスブックで倒木や廃材を回収すると発信し、家の建て替えで伐採されたカンヒザクラやナンヨウスギなど複数の樹木の提供を受けている。知念代表は「行政が回収すればごみとして処分される。木からいろんな製品を作ることができる楽しみを広げていきたい」と話した。

低カロリー 男性にも人気

池田食品「しまどうふショコラ。」

商工会特産品フェア「ありんくりん市」に出店する池田食品(西原町、瑞慶覧宏至代表)が販売する、ゆし豆腐を60%使用した「しまどうふショコラ。」が、幅広い世代から人気を集めている。低カロリーのため、カロリー摂取の罪悪感なしで食べられる「ギルトフリー」を打ち出す。価格は税込み330円。

スイーツ好きだが、カロリーや脂質が気になる人をターゲットに開発した。瑞慶覧代表は「(購入する人は)20~50代の女性客だけでなく、スイーツ好きの男性客も多い」と話す。甘過ぎないビターな味で、クース(古酒)のつまみ用に購入する40~50代の男性もいるという。

沖縄の産業まつり最終日の27日までに、1500個を販売予定。「豆富ティラミス」などのスイーツのほか、国産大豆を使った「ゆし豆富」(700グラム、税込み290円)や「あちこーこ島豆富」(500グラム、税込み330円)も数量限定で販売する。

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