1000分の1ミリ競う 伊那で全国削ろう会

大会に向けた意気込みを語る中村博実行委員長

 かんなで木材を削る技術を競う「第35回全国削ろう会信州伊那大会」は11、12の両日、伊那市西町のエレコム・ロジテックアリーナ(伊那市民体育館)と市防災コミュニティセンターで開く。大工や木工関係の職人らでつくる全国組織「削ろう会」の県支部「信州鉋楽会」などで構成する実行委員会主催。県内では初の開催で、全国から約430人が集まり、1000分の1ミリを競い合う薄削り競技などを繰り広げる。

 「かんなくずは本来、仕事の副産物だが、薄いかんなくずは材木がきれいに仕上がった証」(削ろう会)。厚さ数ミクロン(1000分の1ミリ)という極限に達するには刃を研いだり、台を調整したりする技術を含めた「技の結晶」とされる。大会は、こうした精密で高度な伝統技術の継承に向けた技術交流を目的に毎年開催している。

 薄削り競技は一般、ベテラン(65歳以上)、女性、学生の4部門で、予選は各自持ち込みのヒノキ(一般、ベテランは幅55ミリ以上・長さ1500ミリ以上、女性、学生は幅50ミリ以上・長さ1500ミリ以上)を削る。上位5人が決勝に進み、大会本部で用意する木曽檜官材(幅60ミリ・長さ4000ミリ)を削る。削り出されたかんなくずの3点を計測。いかに薄く、均一に削れるかがポイントという。

 大会では多彩な関連イベントも開催。宮大工棟梁小川三夫さんの講演会や日本の鍛冶屋を追ったドキュメンタリー映画「the Blacksmith」の上映会を行う。昔ながらのまさかりやちょうなを使って丸太を製材する「ハツリ」の実演、手道具の展示、地元高校生や中学生による発表などもある。

 今大会を開く伊那市は「50年の森林ビジョン」を策定し、森林資源を生かしたまちづくりを積極的に進めている。そうした取り組みにも関わる中村博実行委員長(やまとわ社長)は「次代を担う人材の育成は大きな課題。大会を通じて刺激を受け、こだわりを持った職人が生まれ、林業の活性化につながれば」と期待する。

 11日は午後1時開会。同1時30分から薄削り競技、五寸鉋の部の予選スタート。同3時30分から五寸鉋の部決勝。12日は前日に引き続き午前9時30分から薄削り競技予選、午後1時30分から決勝。講演会は11日午後1時30分、上映会は11日午後2時45分、12日午前10時・午後1時。

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