自由が丘で「和傘」展 岐阜の職人が手掛ける蛇の目傘、日傘、セミオーダー販売も

青色の和紙と紫陽花柄の和紙を合わせた日傘「月奴(つきやっこ) 青×紫陽花」

和傘ブランド「仐日和(かさびより)」による「暮らしを豊かにする和傘展」が現在、木工会社ショールーム「オークヴィレッジ東京」(目黒区自由が丘2、TEL 03-5731-3107)で開かれている。

 傘職人の河合幹子さんによる同ブランドは2016(平成28)年創業。江戸時代から知られる和傘産地・岐阜の伝統工芸品「岐阜和傘」の伝承技術を踏まえながら、張った和紙の透け具合や傘を閉じたときのシルエットなど細部までこだわり抜いたデザインで「洋装にも合わせやすい和傘」を数多く手掛けている。

河合さんの母方の実家が、岐阜和傘の中心地・岐阜市加納地区で和傘製造卸の老舗を営んでおり、「小さいころは週末や夏休みになると職人だったおばあちゃんがいる工房を訪ね、和傘を作る姿をよく見ていた」と河合さん。和傘は身近な存在だったものの、大学卒業後は一般企業へ就職。そこへ和傘店を継いだ伯父から誘いがあり、和傘職人へと転身することになった。

「大きくなったら和傘職人になりたい」と考えていた河合さんだけに、覚えが早く、めきめきと腕を上げていったが、実家の都合で家業を手伝うことになり、和傘店を退社。家業の合間に和傘作りに励みながら、自身のブランドを立ち上げた。現在は専業で製作を手掛け、岐阜和傘の次世代の担い手としても注目を集めている。

同展で展示販売するのは、蛇の目傘(4万8,000円~)、日傘(4万3,000円~)の2種類。蛇の目傘といえば、傘を開いて上から見た時に白い輪が入ったデザイン「中張り」が知られているが、河合さんが手掛ける蛇の目傘、日傘は和紙の産地や種類、染めの技法などによってさまざまな色柄物をそろえる。

河合さんの祖母が手掛けていたという三日月のように色を塗り分ける柄「月奴(つきやっこ)」、藍の葉を使って葉脈の模様まで染め抜いた「写し染め」、傘の外側と内側で異なる色の和紙を合わせた「二重張り」、広げると桜の花びらの形になる「桜和傘(日傘)」のほか、渦巻き模様やカラフルな花柄などもそろえる。「和傘は閉じた時と開いた時の見た目が違うので、ぜひ店頭で傘を開いて楽しんでほしい」と河合さん。

蛇の目傘は今回、完成前の物を展示しており、和紙部分は仕上げ加工後、光が透けるように傘の内側から柄が見える作りになるという。納品までは約2カ月かかる。日傘は、展示品を持ち帰りできる。合わせて、6月27日は河合さんが来店し、デザインや色が選べるフルオーダーを受け付ける(要予約)。

河合さんは「雨の日に和傘を差すと、和紙に当たる雨粒の音色が楽しめる。これは洋傘にはない、和傘の魅力の一つだと思う。『もったいない』と購入した和傘をしまう方もいるが、思い切って使うとすんなりと暮らしに溶け込む」とも。

開催時間は11時~19時。6月30日まで。

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