もりおか歴史文化館で「新作南部鉄器展」 職人の姿を身近に感じる工夫も

新作の鉄器が並ぶ展示室。間近でじっくりと眺めることができる

「もりおか歴史文化館」2階企画展示室(盛岡市内丸)で現在、特別展「新作南部鉄器展-鉄をつむぐ-」が開催されている。

「南部鉄器協同組合」の協力の下、企画された同展。同組合ではこれまで、組合の青年部に所属する若手職人による作品展「南部鉄器青年展」を「もりおか歴史文化館」会場に行ってきた。今回の「新作南部鉄器展」についても昨年から企画アイデアはあったものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、慎重に検討を続けてきたという。その中で、組合側からの「このような時だからこそ、一緒に南部鉄器を盛り上げよう」という声もあり、予定通りの開催に至った。

同展では、組合に所属する工房の職人20人による本年度の新作南部鉄器46点を展示。南部鉄器は実用品である側面から、間近で眺めて鉄の風合いを感じられるようにと、ガラスケースを使わない展示方法が取られている。

作り手がどのような職人か知ってもらいたいという思いを込め、展示内容にも工夫を凝らす。会場内には職人が鉄器を作る姿や職人の手を撮影した写真パネルを並べるほか、各作品には職人によるコメントを添え、どのような職人がどのような思い・考えで鉄器を作っているか伝わる展示を作り上げた。作品コメントについては、新型コロナウイルスの感染対策のため、職人を招いてのギャラリートークができないという状況を踏まえてのアイデアでもあるという。

担当学芸員は「私自身、職人の皆さんに無口で少し固いイメージがあった。展示をきっかけに職人と会って話すと、皆さん優しくて気さくで、それぞれの技術や鉄器にこだわり持っていることが伝わって来た。私たちにとって、南部鉄器と職人は近くて遠いような存在だと思う。少しでも身近なものに感じてもらいたくて、今回の展示方法を考えた」と話す。

タイトルの「鉄をつむぐ」は、現代まで受け継がれる南部鉄器の技術を一本の糸に例え、職人たちの価値観やこだわりが折り重なって完成する鉄器を「鉄でつむがれた物語」と表現した。展示には実物の鉄器だけではなく、作成に使う製図や道具、南部鉄器の製造工程を紹介するパネル、盛岡と近隣地域の南部鉄器工房を紹介するマップも並び、これまでの歴史にも触れられる内容となっている。

同館の担当学芸員は「南部鉄器は生活で使う道具であり、その時代の暮らしに合うように作られている。今回の作品展には10代から70代までの職人による南部鉄器が並ぶ。それぞれの職人の工夫や考えにも触れてもらいたい。南部鉄器とその作り手たちの姿と思いを共に感じて」と呼び掛ける。

開館時間は9時~18時(入場は閉館30分前まで)。観覧無料。会期中は11月17日休館。11月23日まで。

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