古い家財道具などを再利用し、日本の伝統美を表現した二つの工芸作品展が13日、兵庫県淡路市尾崎の「尾崎ガーデンズ」で始まる。近くに住む元淡路市副市長、森和重さん(67)と妻の桂子さん(66)が創作した歌絵と、中谷堯さん(83)と妻の日出子さん(79)によるミニチュア古民家で、9月中の毎週金、土曜に開かれる。(内田世紀)
森さん夫妻は2015年、和歌と大和絵、木工を融合させた歌絵作りを開始。和重さんが木工部分を、桂子さんが絵付けを主に担当し、これまでに「百人一首」「淡路島の和歌」をテーマに作品展を開いた。今回のテーマは「源氏物語」。作中で歌われる和歌795首から80首を選び、67点の作品に仕上げた。会場には、酢飯を入れるおけ「飯切」の底や、蒸し器「せいろ」の中などに、きらびやかな平安絵巻と和歌をつづったアイデア豊かな作品が並ぶ。森さんは「王朝文化の雅な世界に触れてほしい」と話す。
中谷さん夫妻は阪神・淡路大震災で実家を失ったことをきっかけに、ミニチュア作りに取り組むようになった。堯さんが建家を、日出子さんが人形や家具などの小物を製作。これまでに60点以上を手掛け、島内外で展示会を開く。今回は、川沿いに町屋が並ぶ倉敷市の美観地区を、幅1・2メートルの大作に仕上げた新作など12点を展示する。中谷さんは「ほうきを竹やぶに見立てた風景など、懐かしい思い出に浸って」と呼び掛ける。午前9時~午後3時。入場無料。