加賀九谷陶磁器協同組合と県伝統工芸士会の「現代加賀九谷焼作家展」(北國新聞社後援)は18日、東京の丸善丸の内本店で始まり、360年以上の歴史を受け継ぐ地元作家らが多様な色絵の世界を繰り広げた。さまざまな伝統技法を駆使し、作家の感性を重ねた作品群が来場者の目を引き付け、首都圏の陶磁器ファンに「古九谷発祥の地」をアピールした。
作品展は書籍販売などの丸善(東京)の創業150年と、同丸の内本店が入る商業施設「丸の内オアゾ」の開業15周年を記念して開催された。JR東京駅に隣接する同店には多くの愛好家や観光客、帰宅途中のサラリーマンらが訪れた。
古九谷の伝統を受け継ぐ加賀市内の作家をはじめ24人が作品を出展した。会場には約250万円の価格が付けられた釉裏金彩(ゆうりきんさい)人間国宝、吉田美統氏の花瓶など約800点が並んだ。
会場に足を運んだ静岡県富士市の中村節子さん(72)は「九谷焼は佐賀県の伊万里がルーツだと思っていた。加賀との産地論争は知らなかったが、加賀の作品の方が美しい色使いで、心を引き付けられた」と作品に見入った。東京・府中市の男性(69)は「色鮮やかな作品だけでなく、落ち着いた色彩のものあり、非常に興味深い」と話した。
オープニング式典で宮元陸加賀市長は「脈々と受け継がれた古九谷の伝統を東京駅のそばで披露できることに大きな意味がある」と強調。北陸新幹線の県内全線開業を見据え、首都圏での加賀の知名度アップにも期待を寄せた。田中金利市議会議長、加賀九谷陶磁器協同組合の山本篤理事長らが参加した。
同展は24日まで。2023年まで毎年秋に都内で開催する予定である。