ガラスの魅力伝えたい 福津の工房 釜山の博覧会に展示

ねずみをモチーフにした作品。職人はガスバーナーの火加減を細かく調整して完成に向かう

福津市のガラス工房「マルティグラス」(高田泰良代表)は、29日~12月2日に韓国釜山市で開かれる「2019釜山国際茶・工芸博覧会」に向けて作品制作を進めている。政治や経済などさまざまな分野で冷え込みが続く日韓関係だが、同工房の職人らは「ガラス工芸の魅力で草の根交流を盛り上げたい」と意気込んでいる。

工房名にもなっているマルティグラスとは、さまざまな色のガラスを何層にも重ねて作り出される工芸品。「福岡積層工芸ガラス」として県の伝統的工芸品に指定されている。

今回の出展は、はかた伝統工芸館(福岡市博多区)の呼び掛けに応えたもので、同博覧会での作品展示は16年夏以来となる。その時は、龍やフクロウをかたどった作品が好評で、高田代表は「陶器が主流の韓国で、ガラス製品が注目されたのは新鮮な驚きだった。言葉は理解できなくとも、作品を通じて心を通わせることができ、手応えを感じた」と振り返る。

同博覧会は06年から毎年開催。韓国全土から数百種類の茶や陶磁器、木工芸などが一堂に会し、マレーシアや中国などから100以上の個人・団体が参加する。日本からは博多人形や博多張子なども並ぶという。

同工房は、来年の干支(えと)のねずみをモチーフにしたガラス工芸のほか、鏡餅やとっくりなど日本の暮らしと伝統文化に根ざした作品約10点を出展する。

作品は、ガラスが割れるのを防ぐため、500度から100度へと段階的に炉を移しながら冷ましてゆく

千度を超える釜の前で、繊細なガラスを自由に操る職人歴38年の杉岡良紀工房長(56)は「ぬくもりのある工芸品だからこそ築ける関係がある。素朴で温かみのある作品を通じて、民間交流を深めるお手伝いができれば」と汗を拭った。

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