匠の技と心 ~未来に繋ぐ熊本の工芸Ⅱ~(2020.2/26-5/6)

熊本には、地域に根差した生活や習慣、伝統を背景に綿々と伝えられてきた手工芸がたくさんあります。地域の自然素材を活用し、地域の人々の要望に応えてきたもの作りは、その土地らしさや愛着を生み出し、人々の心の拠り所としての地域社会をかたち作ってきました。また、工芸家は、継承されてきた技とともに、時代に合った新たな発想や技術を加えた工芸品を作り出すことで人々の生活を豊かにしてきました。

それら工芸家のなかでも、天草市の岡部信行氏は、250年以上の歴史を持つ「水の平焼」の7代目を受け継ぐ陶芸家です。時代に合わせ改良されてきた釉薬の重ね掛けによって表現される独特の海鼠模様は、工芸ファンを魅了し根強い人気を得ています。

玉東町の永田禮三氏は、郷土玩具「木葉猿」の窯元7代目です。地元の粘土を使って手捻りで作る木の葉猿は、その素朴さと愛嬌のある風貌から全国的にも知られる熊本の郷土玩具になっています。

荒尾市の井上泰秋氏は、熊本を代表する陶磁器「小代焼」を製作するふもと窯の初代です。優れた造形と施釉の技術に、薪窯ならではの味わいのある作品で、小代焼の第一人者として活躍しています。

山鹿市の中島清氏は、和紙と糊の芸術といわれる「山鹿灯籠」を制作する灯籠師で、祖父から続く3代目になります。構造をつかんで和紙からパーツを切り出し、糊だけで正確に組み立てる超人的な集中力と技で、これまでに数々の大作を生み出してきました。

今回は、長年に渡ってものづくりに邁進してきた工芸家の世界を、熊本県の伝統工芸アーカイブ・情報発信事業で制作された映像とあわせてご紹介するシリーズの第2弾として、これら4名の工芸家をご紹介いたします。映像が映し出す匠の技と、展示の品々から、いま一度、手仕事のすばらしさを感じていただけたらと思います。

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