1日に公開が始まった石巻市雄勝の雄勝硯(すずり)伝統産業会館の展示室が好評だ。伝統工芸品「雄勝硯」の魅力と地域産業としての歩み、東日本大震災からの復興過程などに触れることができる。
展示室は常設の有料観覧施設。展示されている硯や掛け軸などは、震災の津波でかつての硯会館や地域の硯工場から流出し、後に回収されたものが大半だ。硯産業の歴史と多くのボランティア関わった復興の歩みをまとめた映像が見られるシアターもある。
公開開始から7日までの1週間で、約320人が観覧した。硯伝統産業会館は5月21日にオープンしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、展示室は公開を見合わせていた。
8日に観覧に訪れた東松島市矢本の熊谷美男さん(70)、孝子さん(68)夫妻は「震災後、初めて雄勝に来た。硯や書に囲まれ、書道をしたい気持ちになった。多くの人が支えた復興過程をまとめた映像には感動した」と感想を話した。
同館の受け付け案内業務を市から受託している雄勝硯生産販売組合によると、無料で入館できる販売ギャラリーを合わせた1~7日の館全体の来場者数は1116人。7日の日曜日は、600人を超えたという。千葉隆志事務局長は「地元より県内他市町からの来館者が多い印象だ。より多くの方に足を運んでもらえるよう硯の魅力発信に努めたい」と話した。
好天に恵まれた週末の6、7両日は、隣接する観光物産交流館「おがつ・たなこや」もにぎわった。