鳥取)伝統工芸展入選の竹内さん「機織りがある生活を」

第66回日本伝統工芸展に鳥取県から4人、島根県から5人が入選した。同工芸展の松江展(日本工芸会、朝日新聞社など主催)が12月4~25日に島根県立美術館(松江市袖師町)で開かれるのを前に、入選者に作品に込めた思いを聞いた。

着尺や帯を作っている竹内友夏さん=2019年11月14日、鳥取県南部町東町

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機織りがある生活を 染織 竹内友夏さん

染めた経糸(たていと)を1本ずつ織り上げて文様を生み出す織物「経絣(たてがすり)」。緯糸(よこいと)だと「緯絣」。経糸も緯糸もそれぞれ染めて交差させる「経緯絣」は高度な技術が必要になる。約1年かけて織った入選作、木綿経緯絣着尺(もめんたてよこがすりきじゃく)「雪の声」(長さ14メートル)は、かつて映画で見た山に降る雪を見上げる場面にぴったりだったという。

木綿経緯絣着尺「雪の声」=島根県立美術館提供

島根県安来市出身。兼業農家の家に育った。地元では「広瀬絣」が有名で、子どものときから絣の敷物などが身近にあった。高知大で木工芸を学んだ後、家庭に入っても続けられるものをと考えて織物の道へ。「出雲織」の工房(安来市)で2年間修業し、絣の技術も習得した。出雲織は出雲地方に伝わる木綿織を発展させて、安来市の青戸柚美江さんが独自に創始した織物だ。

染織の部門で初入選を果たした竹内友夏さん=2019年11月14日、鳥取県南部町東町

結婚を機に鳥取県南部町に移住。子育てで織物から離れていた時期もあったが、現在は自宅の近くに小さな作業場を構え、週4日ほど過ごす。織物は職業として成り立つとは考えていないため、趣味という位置づけで続けているが、作っているときは職人であることを心がける。ふだんは植物など自然のものをモチーフに文様を考え、藍染めで染められた糸を中心に着尺や帯を織っている。

日本伝統工芸展への挑戦は今回2回目で初入選。師である青戸さんに勧められての挑戦で、今後も織物を続けていく後押しとなった。憧れは機織りのある暮らし。「梅干しを漬けたり、みそを作ったりするように暮らしの中に機織りがある生活をしていきたい」

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