岩手)新時代へ「石割桜」 南部鉄器、陛下に献上

天皇陛下に献上された鉄瓶の試作品を持つ田山和康さん=2019年11月26日、岩手県滝沢市大釜風林

天皇陛下の即位を祝い、岩手県から伝統工芸品の南部鉄器が11月中旬、献上された。制作者は滝沢市大釜風林で工房を営む伝統工芸士の田山和康さん(69)。約40年前、陛下と接し開かれた皇室を肌で感じていたといい、新時代への思いを胸に、岩手の特徴をいかした作品を作りあげた。

陛下が即位を国内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」から約2カ月。田山さんは「良い時代になって欲しい」と願う。自身の技を磨きつつ、世代交代も意識し、知識や技を若い職人に伝えていくことが使命だと考えている。

田山さんは16歳の時、名工とうたわれた鋳物師の13代鈴木盛久氏に弟子入りした。技を磨くと共に展覧会などに足を運び、様々な工芸品や芸術品などを見て「自身の好きな形」を模索し続けてきた。

60歳を過ぎ、「思い通りに制作ができるようになった」と感じて、2011年に自身の工房を開設した。18年には卓越した技能の持ち主に与えられる「現代の名工」に選ばれた。

今年6月に県から献上品の依頼を受けた。「自分でいいのか」と驚きつつ、以前から構想があった盛岡地裁にある国の天然記念物「石割桜」をテーマにした鉄瓶で祝おうと思った。「石を割って成長する桜の強さ。新時代の繁栄を願う気持ちを表現した」

桜の模様にこだわった。鉄瓶全体に直径1・8センチほどの花びらをちりばめ、伝統的な作品とは異なって所々重なるようにした。また、花びらが浮き出るようにして華やかさを表した。直径18センチ、高さ27センチ、重さ2キロの砂鉄製の鉄瓶は、約2カ月かけて完成した。

1980年ごろ、浩宮時代の陛下が学友と、田山さんの職場だった盛岡市内の工房に訪れたことがあった。田山さんが鋳型に鉄を流し込む場面などを熱心に見学し、「熱くないですか?」などと声をかけたという。気さくな様子に「身近な皇室を感じた」と、田山さん。今、天皇に即位した陛下の姿をみて「平和で良い時代が続くだろう」と感じている。

田山さんの師匠が作った茶釜も、昭和天皇に献上されたことがあるという。「師匠に近づけたかな」。田山さんは感慨深げに話した。

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